2022年の上海GRP成長率はマイナス0.2%、1978年以降初のマイナス

(中国)

上海発

2023年01月31日

中国・上海市統計局が1月20日に発表した2022年の経済概況外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、主要な経済指標が2021年に比べて軒並み大幅に悪化した(添付資料表参照)。同市の域内総生産(GRP)の実質成長率は前年比マイナス0.2%となり、全国平均(3.0%、2023年1月20日記事参照)に比べ経済の減速が目立った。GRP成長率がマイナスとなるのは1978年の改革開放以降初めてで、新型コロナウイルス感染症および、その対応として2022年3月末から約2カ月続いた封鎖管理(ロックダウン)による経済への影響の大きさが顕著となった。

産業別にみると、製造業を中心とする第二次産業の伸びは前年比1.6%減で、2021年の9.4%増から大きく後退した。経済成長の牽引役だった第三次産業は0.3%増と、2021年(7.6%増)よりも鈍化した。

消費動向を表す社会消費品小売総額は前年比9.1%減となり、2021年(13.5%増)より消費支出の落ち込みが顕著だった。このうち、インターネット販売は3.9%減と縮小したものの、消費に占める割合は21.1%と前年(18.6%)より2.5ポイント高まった。業種別にみると、卸売・小売業は7.9%減、ホテル・飲食業は22.4%減となり、新型コロナウイルス感染症で大きな打撃を受けた。

投資の指標である固定資産投資は前年比1.0%減と、2020年(10.3%増)、2021年(8.1%増)の増加の傾向から減少に転じた。分野別では、不動産開発投資が1.1%減に縮小、工業投資は0.6%増と辛うじてプラス成長を維持した。

対内直接投資(実行ベース)は約235億ドルで、過去最高額を更新した。2022年末時点で設置された多国籍企業の地域本部は前年比60社増の891社、外資系R&D(研究開発)センターは25カ所増の531カ所に上った。

貿易総額は前年比3.2%増で、うち、輸出は9.0%増だった一方、輸入は国内の消費低迷により0.5%減となった。主要輸出先をみると、日本向けは2.8%増だった。このほか、EU向けは20.8%増、米国向けは1.9%増だったが、香港向けは16.9%減となった。

2023年のGRP成長率目標は5.5%以上

上海市政府は2023年1月15日に開催した記者会見で、2023年の実質GRP成長率を前年比5.5%以上とする目標を明らかにした。2022年に導入した経済の成長安定策や発展促進政策の効果が表れていることや、第14次5カ年(2021~2025年)規画における発展目標などを考慮したという。

(劉元森)

(中国)

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