高速鉄道にインド初の早期地震検知システムを導入

(インド)

アーメダバード発

2024年02月05日

インド高速鉄道公社(NHSRCL)は1月29日、日本が支援するムンバイ~アーメダバード高速鉄道事業において、インド初となる早期地震検知システムを導入すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

同社によると、地震発生時に乗客や重要インフラの安全を確保するために28基の地震計が設置される。日本の新幹線技術に基づく同システムは、地震による初期微動(プライマリー波:P波)を検知し、自動的に電源を遮断するもの。システムの稼働により停電が感知されると非常ブレーキが作動し、対象地域を走行する列車が停止する仕組みとなっている。

28基の地震計のうち、22基が高速鉄道の沿線の変電所および送電システム系統の要所に設置される計画で、マハーラーシュトラ(MH)州のムンバイ、タネ、ビラール、ボイサールに8基、また、グジャラート(GJ)州のバピ、ビリモラ、スーラト、バルーチ、バドダラ、アナンド、マヘムダバード、アーメダバードに14基が設置される。

残りの6基の地震計は「内陸地震計」と呼ばれるもので、地震が発生する可能性のある地域(MH州のケド、ラトナギリ、ラトゥール、パングリ、GJ州のアデサール、オールドブジ)に設置される。高速鉄道の沿線で、過去100年間にマグニチュード5.5以上の地震が発生したことがある地域を日本の専門家が詳細に調査し、微動計測による土壌適性調査などを実施した後、上記の設置場所が選定されている。

高速鉄道プロジェクトは日本の新幹線システムを採用し、MH州ムンバイとGJ州アーメダバード間の全長508キロを12駅で結ぶ。国際協力機構(JICA)による円借款を通じ、日本政府が支援している。これまで、サバルマティ総合車両基地の整備、全線における電力パッケージ工事などを日系企業が受注し、海外鉄道技術協力協会(JARTS)が軌道建設技術者の育成訓練を行うなど、さまざまな側面で日本が関与している(2022年12月9日2024年1月22日記事参照)。

(古川毅彦)

(インド)

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