オフィスと住宅の賃料、2023年に過去最高を更新

(シンガポール)

シンガポール発

2024年02月06日

シンガポール都市再開発庁(URA)が1月26日に発表した不動産統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、同国の2023年のオフィスと民間住宅の賃料がいずれも過去最高を更新した。

同国中心部(注)の民間オフィス賃貸指数は2023年第4四半期(10~12月)に前年同期比13.1%増の200.1(1998年第4四半期=100)と、これまでの最高だった2008年第2四半期(4~6月)の199.7を上回った。オフィス賃料は2020年第4四半期に新型コロナウイルス禍の影響で前年同期比8.5%下落したが、経済活動の再開が本格化するとともに上昇が続いている(添付資料図1参照)。民間オフィスの空室率は2023年第4四半期に10.0%と、前年同期(11.7%)と比べて低下した。

今後は新規のオフィス物件の完成により、2024年以降の供給が大きく増えると見込まれている。建設庁とシンガポール不動産開発協会(REDAS)が1月15日に共催したセミナーで、不動産コンサルタント会社CBREが発表した調査によると、2024年~2028年の5年間の平均オフィス供給量は年間143万平方フィート(約13万2,851平方メートル)と、2014年~2023年の平均の年間123万平方フィートと比べて、16.3%増加する見通しだ。

民間住宅賃料の高騰はピーク越えか

また、外国人駐在員が多く住む民間高層住宅(コンドミニアムなど)の賃貸指数は2023年第4四半期に160.4(2009年第1四半期=100)と、前年同期比6.9%上昇した(添付資料図2参照)。29.8%上昇した2022年第4四半期と比較すると、上昇幅が縮小した。高層住宅の賃貸指数は2023年第3四半期(7~9月)をピークに、やや下落に転じている。シンガポール通貨金融庁(MAS、中央銀行に相当)は2023年4月、住宅賃料の高騰は住宅供給の増加により2023年中にも沈静化するとの見通しを示していた(2023年4月28日記事参照)。

(注)シンガポールの「中心部」とは、南部の都心部(ダウンタウンコア)、繁華街オーチャードや周辺郊外ブキティマなどを含めた地区。具体的な場所は都市再開発庁(URA)のホームページの地図PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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