CES2024、自動車メーカーの動向、日本メーカーに注目

(米国、日本)

サンフランシスコ発

2024年01月19日

先端テクノロジーの見本市「CES2024」が1月9~12日、米国ラスベガスで開催された(2024年1月15日記事参照)。自動車メーカーによる新車両の発表も多く、自動車産業の話題にこと欠かない発表が相次いだ。発表の中心には日本メーカーがおり、国内外で多くの注目を集めていた。

ホンダ、グローバルEV「ゼロシリーズ」発表

ホンダは2020年以来4年ぶり、7回目の出展となった。新たなグローバル電気自動車(EV)「ホンダ ゼロシリーズ」のフラッグシップモデルとなる「サルーン」と「スペースハブ」の2台をCESで初公開。ゼロシリーズの開発アプローチは「Thin, Light, and Wise(薄い、軽い、賢い)」で、実際に車体やそのプラットフォームもかなり薄くなっている。同社はまた、EVでも従来と変わらずに、運転する喜びを人に実現することをテーマにしている。同社がソニーと共同開発している「アフィーラ」とのすみわけをどのように考えているか聞いたところ、「アフィーラはソニーとしかできない、車内のエンターテインメントの可能性を模索している。価格帯としても高級ラインだが、他方でホンダ ゼロシリーズは、大衆向けのモデルとして考えている」とのことだった。

また、同社は「モトコンパクト」というラストワンマイルを担う簡易モビリティ機器でCESイノベーションアワード2024のベスト・オブ・イノベーションを初受賞。こちらは2023年11月1日から北米限定で、995ドルで販売しており、売れ行きは好調という。

なお、ホンダが協業を発表しているクルーズ(2023年12月11日記事参照)は現在、2023年10月の事故の影響により無人自動運転の業務は停止している(2023年10月12日記事)が、ホンダにインタビューしたところ、「協業関係は変わらず、予定どおりのスケジュールを目指して、引き続き進めている」と話した。

写真 ホンダ ゼロシリーズに注目集まる(ジェトロ撮影)

ホンダ ゼロシリーズに注目集まる(ジェトロ撮影)

写真 ベスト・オブ・イノベーションを受賞した「モトコンパクト」(ジェトロ撮影)

ベスト・オブ・イノベーションを受賞した「モトコンパクト」(ジェトロ撮影)

ソニー・ホンダモビリティ「アフィーラ(AFEELA)」最新車両を発表

前年のCES2023で自動車ブランド「アフィーラ」を発表したソニー・ホンダモビリティは、同社の最新型プロトタイプを展示。同社は「米国法に準拠するためにサイドミラーをつけ、新型車両は全体的に丸みを帯びたデザインに変更した。後ろのメディアバーが前に移動したことも大きな変更点だ。前年に搭載したカメラとレーダーは計45個だったが、数を変更した。2025年に米国でのプレオーダー開始、2026年にはお客のもとに届ける予定」と話している。

写真 アフィーラ新型車両にも注目集まる(ジェトロ撮影)

アフィーラ新型車両にも注目集まる(ジェトロ撮影)

海外メーカーの動向

海外メーカーでは、人工知能(AI)を搭載した自動車の発表が続いた。フォルクスワーゲン(VW)は、自社の音声アシスタントシステムに生成AIの「ChatGPT」を搭載した車両を発表。2024年第2四半期(4~6月)以降、多くの市販車両にChatGPTを標準装備すると発表した。ChatGPTをVWの音声アシスタントに統合することで、従来の音声コントロールをはるかに超える多数の新機能が提供可能になる。ナビゲーションやエアコンを制御したり、一般的な知識の質問に答えたりすることができる上、情報と娯楽を提供するインフォテインメントも可能になるという。

メルセデス・ベンツはAIを搭載したバーチャルアシスタント「MBUX」を発表。同社によると、「MBUXは人間のような反応を提供できるため、乗客は未来のEVを体験することになる」とのこと。

そのほか、韓国の起亜がビジネスユースEV車両、ベトナムの自動車メーカーのビンファストは同社のピックアップトラック型の新しいコンセプト車両VF Wildを発表した。

写真 ビンファストのピックアップトラックEV(ジェトロ撮影)

ビンファストのピックアップトラックEV(ジェトロ撮影)

(芦崎暢)

(米国、日本)

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