ゼネラルモーターズ(GM)、自動運転配車サービスのクルーズへの支出を大幅削減

(米国)

サンフランシスコ発

2023年12月11日

ゼネラルモーターズ(GM)は11月29日、米国サンフランシスコ市内で無人の自動運転車の配車サービスを展開する子会社のクルーズ(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)について、事業拡大や支出を大幅に削減する方針を投資家に向けて明らかにした。背景にはクルーズの無人自動運転車の安全性について懸念が増大したことにある。

クルーズの無人自動運転車は、他の車にはねられた後の歩行者をひく事故を起こしている(2023年10月12日記事参照)。その事故では歩行者を約20フィート(約6メートル)引きずったとされるが、カリフォルニア州車両管理局(DMV)にクルーズが提供した事故のビデオ証拠として不十分だったことから、DMVは虚偽の説明をしたとして、クルーズのサンフランシスコでの無人自動運転の業務停止を10月24日付で執行した。その後、クルーズは自発的に全米での無人自動運転業務を停止した。しかし、一度損ねた安全性への不信感を回復させることは難しく、同社では経営体制の見直しが続いている。

GMはクルーズにすでに数十億ドルを投資し、さらに2022年には、ソフトバンクが所有していたクルーズの少数株を21億ドルで取得している。GMはクルーズの約80%の株式を所有し、他の出資者にはホンダとマイクロソフトが含まれる(ロイター2022年3月19日)。

2018年10月に7億5,000万ドルを投資しているホンダは、人身事故後の2023年11月9日に、クルーズへの投資を増加する計画はないとした。そして、同社の青山真二取締役代表執行役副社長は、クルーズとGMとの合弁事業である無人の配車サービスを2026年に日本で開始する計画(2023年10月24日記事参照)に変更はないと述べている(ロイター2023年11月10日)。

(松井美樹)

(米国)

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