「CES2024」開幕、ジェトロはジャパンパビリオンを設置

(米国)

サンフランシスコ発

2024年01月12日

先端テクノロジーの見本市である「CES2024」が19日に米国ラスベガスで開幕し、初日の会場は多くの人でにぎわいをみせた(17日に開催された公式サイドイベントについては2024年1月9日記事参照)。

写真 メイン会場の一つに掲げられた大きな看板(ジェトロ撮影)

メイン会場の一つに掲げられた大きな看板(ジェトロ撮影)

写真 会場に向かう通路から混雑がスタートし、入場までは時間を要した(ジェトロ撮影)

会場に向かう通路から混雑がスタートし、入場までは時間を要した(ジェトロ撮影)

ジェトロは、スタートアップ企業が集まる「エウレカパーク」内にジャパンパビリオンを設置した。パビリオンの出展募集に対しては過去最多の応募があった中、審査を通過したスタートアップ30社が出展した。中でも、次の6社の製品がベスト・オブ・イノベーション(注)やイノベーション・アワードを受賞するなど、高い評価を得ている。

【ベスト・オブ・イノベーション受賞製品】

  1. SQPVガラス(受賞企業:inQs):世界で最も先進的で効率的なエネルギー収集を可能にする透明な太陽光ガラス、スマートシティ部門で受賞(同部門を含む3部門でイノベーション・アワードを受賞)。
  2. WILLCOOK(WILLTEX):スマートフォンでの温度調節が可能な世界初のポータブル布製加熱レンジバッグ、家庭用品部門で受賞。

【イノベーション・アワード受賞製品】

  1. iwasemi RC-α(ピクシーダストテクノロジーズ):音響メタマテリアル技術を応用したガラスに貼れる透明吸音材、家庭用品部門で受賞。
  2. I-Robo(テックマジック):自動味付け・自動調理・自動洗浄フライパンなどの機能を備え、クラウドに接続して膨大なデジタル・レシピ・ライブラリを利用することができる調理ロボット、ロボティクス部門で受賞。
  3. SPEEDA Edge(ユーザーベース):グローバルで事業開発を推進するイノベーター向けに特定事業領域におけるトレンドを届ける経済情報プラットフォーム、人工知能(AI)部門で受賞。
  4. WOTA BOX(WOTA):シャワーや手洗いからの排水を再利用できるよう処理する世界初の携帯型水再生装置、サステナビリティ・エコデザイン・スマートエネルギー部門で受賞。

このほか、自然本来の茶葉の旨味(うまみ)を抽出する機器「COLDRAW」を開発した、茶の製造・販売を企画するsPodsが食品・アグテック部門でイノベーション・アワードを受賞するなど、アワード受賞企業の中に日系スタートアップが目立つ結果となった。

ジャパンパビリオン内は、サステナビリティ、ライフスタイル、フードテック、XR/DX(クロスリアリティ/デジタルトランスフォーメーション)、の4つのカテゴリーに分けて展示を行っている。来場者と出展者のネットワーキングを促すバーやラウンジが設置され、ソーシャルメディアなどで情報発信されることを企図したフォトスポットも設けられている。

また、会期中(1月9~11日)には、午前11時と午後2時から、出展企業や招待した海外のスタートアップなどによるピッチイベントを実施している。ピッチイベントの前には、書道カリグラフィー・アーティストのSEIKO氏によるパフォーマンスを実施するほか、すべてのピッチを見た人にはコーヒーを提供するなど、1人でも多くの人に日本のスタートアップを知ってもらうためのきっかけを作っている。

写真 ジャパンパビリオンの様子(いずれもジェトロ撮影)

ジャパンパビリオンの様子(いずれもジェトロ撮影)

写真 スタートアップによるピッチ(ジェトロ撮影)

スタートアップによるピッチ(ジェトロ撮影)

今回出展した企業のうちの1つで、イノベーション・アワードを受賞したピクシーダストテクノロジーズの五島隆允 事業統括は「サウジアラビアの貿易商社などから話があるなど、普段は中々ない出会いもあった。1日目の本日はアジア系の来場が多かったが、2日目以降は北米や欧州のディストリビューターに向けてアピールし、取引先開拓に結び付けたい」と意気込みを語った。

(注)イノベーション・アワードは、CESに出展された製品の中で特に評価されたものに贈られる賞。ベスト・オブ・イノベーションは、イノベーション・アワードを受賞した製品の中でも、各部門で最高の評価を得た製品に与えられる賞。

(芦崎暢)

(米国)

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