世界最大級の先端テクノロジー見本市「CES2024」に先がけ、プレス向けイベント開催

(米国、日本)

サンフランシスコ発

2024年01月09日

世界最大級の先端テクノロジー見本市「CES2024」が1月9日から米国ネバダ州ラスベガスで開催されるのに先がけ、その公式サイドイベント「Launch IT」と「CES Unveiled」が1月7日午後に開催された。

「Launch IT」は、会期前に選抜された10社が現地メディア向けにピッチやQ&Aセッションを行う日本スタートアップ限定のピッチイベント。会場は150人を超えるメディア関係者で超満員となり、イベントへの関心の高さがうかがえた。ピッチを行った企業のうちの1社のサーマリティカ(Thermalytica Inc.、本社:茨城県つくば市)はピッチイベントの審査員や関係者から注目を集めた企業の1つだ。同社は断熱材の開発を行うスタートアップで、今回初めてCESに参加した。同社のラダー・ウー最高技術責任者(CTO)は「2021年の設立以降、研究や概念実証(PoC、注1)などを重ねたのちに製品が完成した。米国でも情報発信を行いたいと思い、今回参加した。ピッチ終了後には、関係者からの問い合せもあった」と話した。

写真 ピッチを行う日本のスタートアップ(ジェトロ撮影)

ピッチを行う日本のスタートアップ(ジェトロ撮影)

続いて行われた「CES Unveiled」は全米家電協会(CTA)主催のプレス向けイベント。CESよりも先行して自社の製品デモンストレーションを行い、その製品ストーリーを世界各地から集まるメディアに伝える絶好の機会となっている。CESの開幕前にメディアやインフルエンサーなどが情報発信やSNSの投稿、動画配信などを行うため、CES本番での来場者獲得につながると言われている。イベントには全世界から約160社、日本からはスタートアップなど含め10社以上が参加し、メディアなどにアピールした。

日本からの出展者では、CES ベスト・オブ・イノベーション(注2)を受賞したインクス(inQs)に注目が集まった。同賞を受賞した「SQPVガラス」は、太陽光から発電することができるほか、目に見えない波長の光やこれまで利用されてこなかった光エネルギーも発電に利用することができ、薄暗い室内や曇りの条件下でも効果を発揮するとされている。

インクスの若林経営戦略室長は「韓国やドイツ、イタリアといった世界各国メディアからの取材があり、自社製品に対する驚きの声が上がるなど、非常に良い機会だった」と述べた。

写真 メディア向けに説明を行うインクスのブース(ジェトロ撮影)

メディア向けに説明を行うインクスのブース(ジェトロ撮影)

(注1)新しいアイデア、コンセプトの実現可能性や有用性などを検証することを目的とした、試作開発の前段階に行われるプロセス。

(注2)CESに出展された製品の中で特に評価されたものに贈られるイノベーション・アワードの受賞者の中でも、各カテゴリーで最高の評価を得た製品に与えられる賞。インクスのSQPVガラスはスマートシティー部門でベスト・オブ・イノベーションを受賞した。

(芦崎暢)

(米国、日本)

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