日本製スチレン・ブタジエンゴムのAD税延長審査を開始、利害関係者は3月5日までに情報提供

(メキシコ、日本)

メキシコ発

2024年01月26日

メキシコ経済省は1月24日、連邦官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで米国、韓国、日本を原産国とするスチレン・ブタジエンゴム(SBR)に関するアンチダンピング(AD)税の適用期間延長審査の開始を公告した。現時点で日本製のSBRには1キログラム当たり0.23556ドルのAD税が課されているが、同AD税の撤廃を望む事業者(日本の輸出者、メキシコの輸入者など)は官報公示翌日から28営業日以内(3月5日まで)に経済省に必要な情報を提供する必要がある。経済省の国際通商措置ユニット(UPCI)のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから、情報提供のフォーマット(輸出者用PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)輸入者用PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))をダウンロードできる。

米国、韓国、日本製のSBRに対するAD税は2019年1月28日に適用開始され、1月28日に適用が終わる予定だった(2019年1月29日記事参照)。WTOのAD協定とメキシコの貿易法の規定に基づき、2023年12月1日と同月4日に国内唯一の生産者のネグロメックス(Negromex)がAD税適用延長審査の開始を要請、同要請に基づくかたちで今回、延長審査の開始が公告された。

延長審査対象のSBRは、メキシコ側のHS8桁で4002.19.01,、4002.19.02、4002.19.03、4002.19.99の4品目。タイヤや防振ゴム、履物、シール材などさまざまな工業製品に用いられる合成ゴムだ。

日本からの輸入は現状ではわずか

メキシコ中央銀行のデータによると、2023年1~11月の日本製SBRの輸入量は前年比14.5%増の約163.8トンと増えてはいるが、全世界からの輸入量の0.3%にすぎない。しかし、AD税の延長調査では、AD税が撤廃された場合の輸入急増の可能性を考慮されることが多い。日本側からの情報提供がない場合は、WTOのアンチダンピング協定の第6.8条に基づき、「知ることができた事実(facts available)」に基づく判断がなされ、生産者のネグロメックスの主張が全面的に採用されて延長が決定される可能性がある。なお、1月時点で日本製の産品に対してAD税が課されているのは、SBRに加え、過去4回にわたって適用期間が延長されてきた継ぎ目なし鋼管(2020年11月9日記事参照)、2019年5月から適用されている鉄鋼厚中板(2019年5月7日記事参照)がある。後者は5月1日までが有効期限となっており、国内生産者の申請に基づき、延長調査が開始されるかどうかが注目される。

(中畑貴雄)

(メキシコ、日本)

ビジネス短信 eee532c95363a15f