「ラオスイノベーション・投資フォーラム-2024年ASEAN議長国へ向けて」が開催

(ラオス、ASEAN)

調査部アジア大洋州課

2024年01月04日

ラオス計画投資省、日本アセアンセンターおよびジェトロは12月18日、東京で「ラオスイノベーション・投資フォーラム-2024年ASEAN議長国へ向けて」を開催した。ソーンサイ・シーパンドン首相、サターバンディット・インシーシェンマイ計画投資副大臣をはじめとする関係者らが、ラオスの投資環境や恩典、また2024年のASEAN議長国としての方針について講演した。

ラオスと日本の関係は、2025年に外交関係樹立70周年、戦略的パートナーシップ10周年を迎える。ソーンサイ首相は、2国間関係で経済協力、特に貿易、投資、観光の促進を重視していると述べた。また、2023年9月の第26回日ASEAN首脳会議で発表された「日ASEAN包括的連結性イニシアチブ」を通じた協力の強化や、国内の物流・交通インフラの改善、またビジネス環境全般の改善に取り組んでいるとした。

サターバンディット計画投資副大臣は、投資環境改善の取り組みとして、計画投資省への投資申請にかかるワンストップサービスの仕組みを改善し、手続きにかかる時間の短縮に取り組んでいることや、申請の審査・承認プロセスの近代化を検討していると述べた。また、商工省での企業登録手続きについてオンラインシステムの開発を始めているほか、投資奨励法についても改正に向けて検討しているという。

ラオスの投資環境上の魅力について、計画投資省投資奨励局外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのワンタナー・ノーリンター局長は、(1)安定した政治・社会情勢、(2)周辺国も含め引き続き経済成長が見込まれること、(3)資源・土地が豊富、(4)インフラ開発を通じた周辺国との連結性改善、(5)投資優遇措置を挙げた。これに加え、ジェトロ・ビエンチャン事務所の菊池保志所長は「人件費の安さ(注)」もメリットだとした。ラオスの人件費はタイの3分の1から2分の1で、他の周辺国と比べても低い。一方、「不安定な為替」がリスクとして挙げられる。通貨安が進行する中、タイや韓国などに出稼ぎに出るラオス人もみられるという。また、計画投資省経済特区推進管理局外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのラッタナー・インターポン次長からは、メリットとして「災害リスクが少ないこと」や「電力価格が比較的安いこと」なども挙げられた。今後投資が期待される分野について、ワンタナー局長は、軽工業、電気・電子産業、農業機械、観光業、再生可能エネルギーを挙げた。

ラオスの経済特区(SEZ)の現状については、ラッタナー次長によると、現在、国内21カ所のSEZに地場企業も含め1,350社が投資しており、6万8,483人の雇用を創出しているという。そのうち、日本企業は39社で、国籍別では中国(757社)、ラオス(118社)、タイ(56社)に次いで多い。

2024年にASEAN議長国を務めるにあたり、ソーンサイ首相は、(1)経済統合と連結性、(2)皆が協力する未来の構築、(3)デジタル化の推進の3点に注力するとした。また、ラオス商工会議所のウデット・スワンナボン会頭は、ASEANビジネス諮問委員会(ASEAN-BAC)として5つの重点分野〔デジタル化、持続可能な開発、保健・医療の強靭(きょうじん)性、食料安全保障、貿易・投資促進〕に取り組んでいるとし、議長国として域内ネットワークの強化が重要だと述べた。

写真 基調講演を行うソーンサイ首相(ジェトロ撮影)

基調講演を行うソーンサイ首相(ジェトロ撮影)

(注)ジェトロ「2023年度 海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)」の4.投資環境を参照。

(山口あづ希)

(ラオス、ASEAN)

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