ブラジル三権襲撃から1年、式典ではゆるぎない民主主義を強調
(ブラジル)
サンパウロ発
2024年01月22日
2023年1月8日に起きたブラジルの首都ブラジリアでの連邦議会、大統領府、最高裁判所の襲撃事件(2023年1月10日記事参照)を受け、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領はじめ、三権の長らが集まる式典が1年前と同じ日の1月8日に行われた。
同式典では、「揺るぎない民主主義」を掲げ、ルーラ大統領、ルイス・ロベルト・バローゾ最高裁長官、ロドリゴ・パチェコ上院議長、各州の知事らが参加し、民主主義のさらなる強化や、襲撃に関与した者の処罰などを訴えた。
式典当日は一部の主要都市において、ルーラ大統領や、ジャイール・ボルソナーロ前大統領を支持するデモもみられたが、大きな混乱には至らなかった。2022年10月に発足したルーラ政権は、2023年は大きな混乱の船出となったが、就任後1年余りの2024年は暴力が横行することがない船出だった。
政治的分断、今後の政治動向にも注目集まる
当日の式典については、ルーラ政権と距離を置く知事らの欠席を大きく取り上げるメディアがあるなど、政治的な分断に焦点を当てた報道もみられた。2022年の大統領選挙では、ボルソナーロ前大統領との接戦の末に現ルーラ政権が誕生したが、今なおキリスト教福音派を中心に、ボルソナーロ前大統領を支持する有権者も多い(注)。こうした中、2024年10月には市長、市議会議員の全国統一地方選を控え、両勢力への世論がどのように動くかにも関心が集まっている。
(注)2023年12月19日に発表された民間調査会社ダッタフォーリャの世論調査では、ボルソナーロ前大統領を支持する回答者は32%で、2022年12月に発表された結果と同水準。支持者のうち、44%をキリスト教福音派の有権者が占めている。
(井上徹哉、エルナニ・オダ)
(ブラジル)
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