北京市の2023年の実質GRP成長率、全国と同じ5.2%

(中国)

北京発

2024年01月29日

中国・北京市統計局の1月19日の発表によると、北京市の2023年の実質域内総生産(GRP)成長率は前年比5.2%と、2022年の0.7%から4.5ポイント上昇した。全国の実質GDP成長率の伸びと同一だった(2024年1月26日記事参照)。産業別のGRPでは、第一次産業、第二次産業、第三次産業がそれぞれ4.6%減、0.4%増、6.1%増となった。

主要経済指標をみると、投資(固定資産投資)は前年比4.9%増だった。うちインフラ投資は0.9%増、不動産開発投資は0.4%増と、いずれも微増にとどまる一方、企業による生産能力拡大を受けて、設備投資は24.4%増となった。産業別にみると、情報通信・ソフトウエア・ITサービス業向けは47.1%増と大幅に増加したほか、ハイテク産業(16.2%増、うちハイテクサービスへの投資は36.1%増)、文化・スポーツ・娯楽業(11.4%増)、交通運輸・倉庫・郵政業(10.1%増)は2桁の増加だった。

消費(社会消費品小売総額)は前年比4.8%増だった。サービス消費は交通、文化・スポーツ・娯楽分野に牽引され、前年比14.6%増だった。財の消費は2.7%増にとどまったものの、飲食収入は32.5%増と大幅に増加した。商品別にみると、宝石類(35.0%増)、スポーツ・娯楽用品(29.8%増)の消費が好調だったほか、自動車関連品の小売総額は13.5%増で、特に新エネルギー車は38.0%増と高い伸びを示した。

このほか、消費者物価上昇率は前年比0.4%に抑えられたほか、都市部調査失業率(年平均)は4.4%で、2022年より0.3ポイント低下した。また、1人当たりの可処分所得は 8万1,752元(約171万6,792円、1元=約21円)、物価上昇率を除いた実質の伸び率は前年比5.2%で、同市のGRP成長率と同水準だった。

1月21日から開催されている北京市人民代表大会で北京市の殷勇市長が行った北京市の政府活動報告によると、同市は2024年の実質GRP成長率目標を5%前後に設定した。このほか、都市部調査失業率を5%以内、消費者物価上昇率を3%前後、住民の所得の伸び率を経済成長率と同水準にするとしている。

また、報告では、2024年の北京市の重点取り組みとして、「新両翼」の建設(注)を加速すること、国際的な科学技術イノベーションセンターの建設に注力すること、潜在力のある消費の喚起に力を入れること、新たな不動産の発展モデルを構築することなどを盛り込んでいる。

(注)北京市から、一般的な製造業など付加価値の低い産業である非首都機能の移転を目的として、同市東部にある通州区に副都心を、同市から南へ100キロほどに位置するエリアに雄安新区を建設することを指す。

(張敏)

(中国)

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