2023年の実質GDP成長率は5.2%、全人代で設定した目標を達成

(中国)

北京発

2024年01月26日

中国国家統計局は1月17日、2023年の実質GDP成長率を前年比5.2%と発表した(添付資料表参照)。2022年(3.0%)から2.2ポイント上昇し、2023年3月の全国人民代表大会(全人代)で設定されたGDP成長率目標(5.0%前後)を達成した。2023年第4四半期(10~12月)のGDP成長率は前年同期比5.2%と、第3四半期(7~9月)の同4.9%より0.3ポイント増加した。

各指標をみると、投資では固定資産投資額が前年比3.0%増となった。うち、インフラ投資は5.9%増、製造業投資は6.5%増とプラス成長を維持した一方、民間投資は0.4%減、不動産開発投資は9.6%減となった。産業別でみると、ハイテク産業への投資は10.3%増となり、固定資産投資額全体の伸び率を7.3ポイント上回った。中でもハイテク製造業への投資の伸びが高く、航空・宇宙機器製造業(18.4%増)、コンピュータ・オフィス設備製造業(14.5%増)、電子・通信設備製造業(11.1%増)への投資が大きく増加した。

消費(社会消費品小売総額)は前年比7.2%増だった。商品の消費が5.8%増で、飲食収入は20.4%増となった。国家統計局によると、財の中では、衣類・帽子・靴など(12.9%増)、穀物・油・食品(5.2%増)といった生活必需品の消費が安定的な成長を保ち、金・銀・宝石類(13.3%増)、スポーツ・娯楽用品(11.2%増)、通信機器(7.0%増)など生活必需品以外の消費は比較的大きな成長を遂げた。また、インターネット上の実物消費は8.4%増となり、消費全体に占める比率は前年より0.4ポイント上昇して27.6%となった。

また、消費者物価指数(CPI)は前年比で0.2%の上昇となった。雇用指標である全国都市部調査失業率(通年の平均値)は0.4ポイント低下の5.2%となり、年初に設定された目標(5.5%前後)を達成した。全国の1人当たり平均可処分所得は 6.3%増の3万9,218元(約80万円、1元=約20.5円)、物価変動の影響を除いた実質の伸び率は 6.1%増で、2022年の同伸び率2.9%から上昇した。

国家統計局の康義局長は2024年の経済動向について、外部環境の複雑化や国内市場の需要低迷、マインドの弱さ、一部産業の過剰生産問題など、リスク要因は依然として多いと指摘した上で、足元の中国経済が上向いていることや、新興産業の成長も加速していること、各種支援策が新たに打ち出されていることなどに鑑みると、中国経済が長期的に成長するという基本的な方向性に変化はなく、2024年の中国経済は引き続き回復し上向いていくとの見方を示した。

(趙薇)

(中国)

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