世界銀行、バングラデシュの2022/2023年度GDP成長率を6.0%、2023/2024年度は5.6%と予測

(バングラデシュ)

調査部アジア大洋州課

2024年01月19日

世界銀行は1月9日、「世界経済見通し外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」でバングラデシュの2022年/2023年度(2022年7月~2023年6月)の実質GDP成長率(推定)を6.0%(暫定値)と発表した(2024年1月11日記事参照)。また、2023/2024年度の成長率は5.6%とし、前回の見通し(2023年6月)から0.8ポイント引き下げた。

同国についてのポイントは次のとおり。

  • 同報告書では、2022/2023年度の成長率鈍化の要因について、輸入制限や原材料・エネルギーコストの上昇、対外的・金融的圧力の高まりによる活動の阻害などを挙げた。
  • 2023年度の消費者物価上昇率は、主に食料品価格の上昇と通貨安によってもたらされ、これらが金融引き締めにつながった。
  • 国際収支は外貨準備の減少とともに悪化し、不良債権やその他の債権が増加したことで、金融セクターの脆弱(ぜいじゃく)性も高まった。
  • 同国の今後の見通しについては、2023/2024年度は、インフレ率の高止まりが個人消費の負担となることや、外貨準備高が低水準にとどまる可能性が高く、輸入制限が続いて民間投資が阻害されることが予測される。
  • 一方、公共投資は底堅く推移するとし、インフレ圧力の後退に伴い、2024/2025年度の成長率は5.8%と若干の改善を見込む。
  • 同国の成長下揺れリスクとして、輸出先、特にEUの成長の予想以上の落ち込みや、バングラデシュの選挙を巡る不確実性の高まりに触れ、外国からの投資を含む民間部門の活動の鈍化、政治的・社会的不安や暴力が経済を弱体化させる可能性がある。ただし、選挙後に成長に適した政策が実施されれば、成長見通しが改善する可能性もがある。

バングラデシュでは1月7日、第12回総選挙が実施され(2024年1月9日記事参照)、与党のアワミ連盟(Awami League:AL)が圧勝し、4期連続で政権を担うこととなった。今回の勝利により、2028年末までシェイク・ハシナ(H.E. Sheikh Hasina)首相が現政権を継続する。選挙後の同国の動向が注視される。

(寺島かほる)

(バングラデシュ)

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