世界銀行、2023年の南アジアGDP成長率を5.7%に下方修正

(インド、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ)

調査部アジア大洋州課

2024年01月11日

世界銀行は1月9日、「世界経済見通しPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」で南アジア地域(SAR、注1)の2023年の実質GDP成長率(推定)を5.7%と発表し、前回(2023年6月)の見通しから0.2ポイント下方修正した(2023年6月15日記事参照)。また、今後の見通しについては、2024年の成長率がわずかに鈍化し5.6%になると予測した。

同地域のGDPの4分の3を占めるインドについては、2023年/2024年度(2023年4月~2024年3月)の成長率は6.3%と、前回予測を維持した。物品貿易の伸びは減速したものの、強固な公共設備投資とサービス輸出などが成長を下支えしていると分析。2024年/2025年度(2024年4月~2025年3月)の成長率は6.4%と、緩やかな上昇を予測する。

バングラデシュは、輸入規制や原材料およびエネルギー価格の高騰などを背景として、2022年/2023年度(2022年7月~2023年6月)の成長率は6.0%(暫定値)となった。2023年/2024年度(2023年7月~2024年6月)の成長率は5.6%(前回予測から0.8ポイント引き下げ)となる見込みで、インフレの高止まりや輸出規制の継続により民間消費・投資が抑制されるとした。

パキスタンは、高いインフレに加えて2023年初頭に貨幣価値が下落したことを受け、2022年/2023年度(2022年7月~2023年6月)のGDP成長率がマイナス0.2%まで落ち込んだ。インフレ抑制のための厳しい金融政策などで伸び悩みが予想されるものの、2023年終盤に貨幣価値が持ち直したことから、2023年/2024年度(2023年7月~2024年6月)の成長率は1.7%(前回予測から0.3ポイント引き下げ)を見込む。

スリランカ(注2)は、2023年に公的債務の再編に進展が見られたものの、同年の成長率はマイナス3.8%(前回予測から0.5ポイント引き上げ)を予測する。2024年も債務再編交渉により不安定な状態が続くとみられるものの、1.7%と前回予測から0.5ポイント引き上げた。

なお、同地域における2024年の経済成長下振れリスクについては、中東の紛争激化などによるエネルギー、食料品価格高騰のほか、インドを含む南アジア各国で行われる選挙による不透明さの影響を指摘した。

(注1)世界銀行の区分では、アフガニスタン、インド、スリランカ、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、ブータン、モルディブの8カ国を指す。

(注2)スリランカは暦年で算出。

(深津佑野)

(インド、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ)

ビジネス短信 a97afe45916012dd