IMF、公的・民間債権者との合意が重要と指摘

(スリランカ)

調査部アジア大洋州課

2024年01月30日

ピーター・ブロイヤー氏をシニア・ミッション・チーフとするIMFスリランカ・ミッション・チームは、拡大信用供与(EFF)プログラム(注)下のスリランカ経済・金融政策実施の進捗状況について協議するため、2024年1月11日から19日までスリランカを訪問した。IMFが1月19日に発表したプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、スリランカの国内債務の最適化計画の実施を評価し(2024年1月23日記事参照)、同国が公的金融機関との最終合意を速やかに完了させ、対外的な民間債権者との解決を図ることが引き続き重要だとコメントした。

IMFは、スリランカ当局が実施した経済改革プログラムにより、2023年第3四半期の実質GDPが前年同期比1.6%のプラス成長を記録し、6四半期連続プラス成長となったこと、必需品の不足の緩和やインフレの抑制など、同国経済が回復基調にあることを表明した。

他方、今後の経済の安定化に向けた課題として、改革アジェンダの維持を前提に改革をより持続可能なものにし、債権者の信頼をさらに高めるために、税務行政の強化、免税措置の撤廃、脱税の積極的な取り締まりが必要だと述べた。

また、スリランカ中央銀行がインフレ抑制に成功したことを踏まえ、今後の金融政策については現在のインフレ水準を定着させることに重点を置き、豊富な外貨準備により対外的支出に余裕を持たせること、支援対象を改善し現金給付の適用範囲を拡大して貧困層や社会的弱者の保護することなどを引き続き求めた。さらに、銀行法の早急な改正、銀行資本増強計画の実施、金融監督と危機管理の枠組みを強化する必要性などについても指摘した。

なお、金融支援パッケージに盛り込まれた目標の進捗については、2024年春ごろに予定されている、第2次審査で(2023年12月18日記事参照)正式に判断するとした。

(注)IMFが2023年3月20日に正式に承認した、スリランカに対する4年間で総額約30億ドルの金融支援パッケージ(2023年3月22日記事参照)。

(寺島かほる)

(スリランカ)

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