米労働省、労働者を従業員または個人事業主に分類するための最終規則発表

(米国)

ニューヨーク発

2024年01月18日

米国労働省は1月9日、公正労働基準法(FLSA)に基づき、労働者を「従業員」または「個人事業主」に分類するための最終規則を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。3月11日から施行される。労働省は2022年10月に規則案を発表していた(2022年10月13日記事参照)。

最終規則は、最低賃金や時間外手当を受け取れる「従業員」を「個人事業主」として扱わないようガイダンスを提供するもの。ジュリー・スー労働長官代行は発表で「従業員を個人事業主に誤分類することは、労働者から基本的な権利と保護を奪う深刻な問題」とし、「この規則は、賃金搾取のリスクに直面している労働者が適切に分類され、稼いだ賃金を受け取れるようにすることで労働者の保護に役立つものだ」と意義を強調した。

労働省が1月10日に発表したコンプライアンスガイド外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、最終規則では、次の6つの要素を考慮して、労働者が「個人事業主」か「従業員」かを判断する。

  1. 経営手腕により起こり得る労働者の損益の機会
  2. 労働者および潜在的雇用主による投資
  3. 労働関係の永続性の度合い
  4. (労働者に対する)雇用主からの管理内容と程度
  5. 遂行される業務が雇用主の事業で不可欠な一部である度合い
  6. スキルと自主性

また、同コンプライアンスガイドによると、雇用主は、今回発表された最終規則に反して誤って「従業員」を「個人事業主」と分類した場合、FLSAに基づき、「従業員」に支払われるべき未払い賃金を支払う責任を負う。加えて、未払い賃金に相当する遅延損害金や民事上の罰金などを支払わなければならない場合もある。

「個人事業主」に対する待遇改善は、自治体レベルでも進んでいる。ニューヨーク(NY)州最高裁判所は2023年11月30日、大手フードデリバリーサービス会社のウーバー、ドアダッシュ、グラブハブを通してNY市でサービスを提供する個人事業主に当たる配達員に対する最低賃金を設定することを容認した。これにより、前述の3社は配達員に最低時給17.96ドル、2025年4月の完全実施時以降には19.96ドルの支払いと、インフレに合わせて毎年支給額を調整することが義務付けられている(2023年12月6日記事参照)。

(吉田奈津絵)

(米国)

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