NASA、アルテミス計画の有人月面着陸を2026年9月へ延期

(米国、日本)

調査部米州課

2024年01月16日

米国航空宇宙局(NASA)は1月9日、アルテミス計画の一環として、2025年末に予定していた有人月面着陸を、2026年9月に延期すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同ミッションは、第1段階に無人の月周回ミッション、第2段階に有人の月周回ミッション、第3段階以降は有人の月面着陸ミッションを掲げている。今回延期が決まったのは、既にミッションを完遂した第1段階を除く、第2段階と第3段階の両方となっている。

本計画は、NASAがアポロ計画の後継として提案した複数の月面探査プログラムの総称で、将来的に有人火星探査を行う際の足がかりとして、月面に持続可能な基地の設立を目指している。

人類にとって約50年ぶりとなる月面着陸を予定していることから、本計画には米国以外にも多数の国が参画している。2020年10月には、「すべての活動は平和目的のために行われる」ことをはじめとしたアルテミス合意に、米国、日本、カナダ、イタリア、ルクセンブルク、アラブ首長国連邦(UAE)、英国、オーストラリアの8カ国が署名し、現在では33カ国・地域にまで広がっている。加えて2022年の日米首脳会談では、将来の日本人宇宙飛行士の月面到達を達成すべく、協力を継続することが示された(2022年5月24日記事参照)。

本計画には宇宙航空研究開発機構(JAXA)のほか、多数の日系企業が参画している。月を周回する有人拠点を製造するゲートウェイ計画には三菱重工業などが、月極域探査ミッション用ローバの開発にはトヨタやブリヂストン、タカラトミーなどが、月面基地の建設には清水建設や鹿島建設が参画を表明している。

なお、有人月面着陸が2025年末に実行される見込みが厳しいことは、米国政府説明責任局(GAO)が2023年11月30日にレポート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで指摘していた。また、同レポートによれば、有人月面着陸の準備にかかる期間を考えると、有人月面着陸は2027年に実施されるものとみており、今回の発表は、それを少し前倒ししたかたちとなった。

(谷本皓哉)

(米国、日本)

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