エネルギー・資源のサプライチェーン強化に向け、「国家資源安全保障法」が議決

(韓国)

ソウル発

2024年01月17日

「国家資源安全保障特別法案」が1月9日、韓国国会の本会議で議決された。同法が議決されたことで、「素材・部品・装置産業の競争力強化および供給網安定化のための特別措置法」(2023年6月25日)、「経済安全保障のための供給網安定化支援基本法」(2023年12月8日)(2023年12月13日記事参照)とあわせて、「サプライチェーン3法」がすべて立法された(2023年11月15日付地域・分析レポート参照)。

国家資源安全保障特別法の主な内容は、次の4点。

  1. 新しい資源安全保障コンセプトの確立:カーボンニュートラルなどの新しい環境変化に適合した資源安全保障の対象を拡大し、新たに定義(注1)。国家資源安全保障の戦略と方向性を提示。
  2. 資源安全保障コントロールタワーの構築:基本計画など重要事項を審議する資源安全保障協議会(注2)を構築・運営。早期警戒システムを構築。
  3. 緊急時に向けた事前準備:中核資源の海外開発・備蓄拡大・代替資源開発などへの支援根拠を整備。資源安全保障上の危機において、中核となる供給・需要機関を指定・管理。
  4. 包括的な危機対応能力強化:段階別危機警報発令(4段階)や危機対策本部などの危機対応体制を整備、緊急対応措置および損失補償の支援根拠を整備。

産業通商資源部では、「いわゆるサプライチェーン3法の制定が完了したことで、韓国の中核資源のサプライチェーン安定化につながるだろう」と総括している。

(注1)石油、天然ガス、石炭、重要鉱物、ウラン、水素、再生エネルギー(素材・部品)など。

(注2)委員長は産業通商資源部長官、委員は関係省庁の次官級公務員が担い、必要に応じて業界・学術界の関係専門家をメンバーとした諮問委員を構成する。

(橋爪直輝)

(韓国)

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