ブリンケン米国務長官、カイロでエルシーシ大統領と会談、フーシ派の紅海商船攻撃阻止を強調

(エジプト、米国)

カイロ発

2024年01月16日

エジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領が1月11日、米国のアントニー・ブリンケン国務長官とカイロで会談した。エジプト大統領府の発表によると、ブリンケン国務長官は、ガザ地域の状況を沈静化し、平和と安定を強化するエジプトの努力に対するジョー・バイデン大統領の謝意を伝えた。エルシーシ大統領は、米国との調整を継続するエジプトの強い意向と、ガザ地区での即時停戦と人道支援へのアクセスを確保するための取り組みを伝えた。

エルシーシ大統領はまた、人道的窮状を終結させるために国際社会は国連決議を順守し、パレスチナ人が正当な権利を獲得し、公正かつ包括的な解決を目指すため問題の根本に対処しなければならないと述べた。

紛争沈静化に向けた集中的な協議を継続し、パレスチナ人を強制移住させるような試みを断固拒否し、地域安定はイスラエルとパレスチナ二国家解決を原則とするコミットメントを双方が確認した。

在エジプト米国大使館の発表よると、ブリンケン国務長官は、エジプトの人道支援に対するバイデン大統領の謝意を伝え、イスラエルの人質全員を解放するための継続的な取り組みを協議し、イスラエルの安全確保、またパレスチナ国家樹立を進め地域和平を実現することに対する米国のコミットメントをあらためて表明した。また同長官は、紅海を通航する商船に対するイエメンの武装組織フーシ派の攻撃を阻止し、地域紛争拡大を防ぐ重要性を強調した。

商船が紅海を迂回していることで、エジプト政府のスエズ運河通航料金収入が減少している。エジプトのオサマ・ラビエ(Osama Rabie)・スエズ運河庁(Suez Canal Authority, SCA)長官は、1月1日から11日までのスエズ運河通航船舶数が前年同期の777隻から544隻へと30%減少し、輸送量が41%減少、ドル建て収入が40%減少したと述べた(1月12日Ahram Online)(2024年1月10日記事参照)。

エジプトのハラ・エルサイド(Hala El-Said)計画・経済開発相は2023年5月、2023/2024会計年度(7月~6月)の総外貨収入額目標を830億ドルとし、このうち310億ドルが海外在住労働者からの送金、110億ドルが海外直接投資、90億ドルがスエズ運河通航料、320億ドルが非石油商品輸出(Non-oil merchandise exports)収入と示していた。

エジプトの観光業収入は2022/2023会計年度に136億ドルだったことから、スエズ運河通航料は海外在住労働者送金、観光業、海外直接投資に次ぐ外貨収入源だ。通航料の大幅な減収は国の外貨準備高減少につながる懸念がある。

(西澤成世)

(エジプト、米国)

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