2023年の消費者物価上昇率は9.28%に鈍化、食料品の高騰が大幅緩和

(コロンビア)

ボゴタ発

2024年01月22日

コロンビア国家統計庁(DANE)の1月5日の発表によると、2023年通年の消費者物価上昇率は前年比9.28%だった。2022年に年間で27.81%上昇していた食料・非アルコール飲料の上昇率は5.0%まで低下した。なお、2023年12月の月間上昇率は0.45%で、同上昇率は4月以降一貫して1%を下回っている。

分野別で2023年の上昇率が大きかったのは、輸送関連(15.42%)、レストラン・ホテル(13.22%)、酒・たばこ(11.95%)などだった。特に輸送関連では、自動車燃料価格の上昇率が44.80%で、DANEが統計で採用する188の財・サービスのカテゴリーの中で特に高くなっている。その背景として、燃料価格安定化基金の赤字削減のため、政府がガソリンの価格維持を目的として支給していた補助金を徐々に低減させたことが影響している。

今回の発表は大方の予想を下回る上昇率となったが、インフレ再燃に対する警戒感はまだ根強い。2023年末に政策金利が3年3カ月ぶりに小幅ながら引き下げに転じた(2023年12月28日記事参照)ものの、2023年末に決定した2024年の最低賃金引き上げ率は12.07%(2024年1月11日記事参照)と、結果的に消費者物価の上昇率を上回っている。2024年1月16日には2023年に保留されていた道路通行料金が改定され、まずは2022年の年間インフレ率と同率となる13.12%の引き上げが行われた後、2024年7月には2度目の引き上げとして2023年のインフレ分が値上げされる予定だ。

リカルド・ボニージャ蔵相は、2024年も年間を通じて物価上昇率は低下を続け、年末には5%程度となり、政策金利も現在の13.0%から8%程度まで引き下がる、という予想を公にしている。

今後、コロンビアの物価高を助長し得る懸念要素としては、2023年に保留されていたディーゼル燃料価格の引き上げが挙げられるが、これについて同相は2024年1月12日に公表されたニュースサイト「バロラ・アナリティック」のインタビューで、2024年2月に行う計画だった第1回の値上げについて「保留する」と明言し、輸送関連団体との交渉が続いていることを明らかにしている。

(豊田哲也)

(コロンビア)

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