2024年最低賃金は前年比12.07%増、大統領は労働者目線に立った決定強調

(コロンビア)

ボゴタ発

2024年01月11日

コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領は12月28日、2024年の月額法定最低賃金を前年比12.07%増の130万ペソ(約48,100円、1ペソ=約0.037円)に決定し、法令を翌日交付した。交通費手当については16万2,000ペソとし、最低賃金の引き上げ率を上回る15.22%の引き上げとなった。

12月第1週から行われていた労使団体会合で、労働者側は当初18%の引き上げを主張した一方、使用者側はおおむね11%強と想定された「消費者物価指数(CPI)上昇率プラス最大1%」を主張し、合意に達することができなかった。このため、労使団体間の合意がない場合の規定により、政府としてグスタボ・ペトロ大統領が決定したかたちとなった。使用者側の主張に近い引き上げ率となっているが、労働側は最終的に12.0%まで譲歩したと報じられており、その意味では労働者側寄りの決定と言える。

使用者側は12月29日、「景気回復とインフレの観点から、引き上げ率には懸念を持つ」として、想定以上の引き上げ率に決定したことに懸念を表明した。コロンビア商業組合(Fenalco)のハイメ・カバル会長は、2023年第3四半期(7~9月)のGDP成長率が前年同期比0.3%後退(2023年11月28日記事参照)したことを引き合いに出し、「既に苦境に立たされている商業部門にとって、この引き上げはマイナスの影響を与える」と指摘した。

一方、中央労働者団体(CUT)のファビオ・アリアス会長は同日付の「Semana」誌で「引き上げ率は当初想定したものではなかったが、購買力回復のためには前向きだ」と話し、大統領の決定を受け入れた。

決定後、ペトロ大統領は同日の会見で「政府はコロンビアの労働者により近い立場をとっており、決定は労働者目線で考えたものだ。この法令により250万世帯の低所得者が恩恵を受ける」と発言した。

(アンドレス・ゴンサレス)

(コロンビア)

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