政策金利を3年3カ月ぶりに引き下げ

(コロンビア)

ボゴタ発

2023年12月28日

コロンビア中央銀行は12月19日の理事会で、政策金利を13.25%から0.25ポイント引き下げ13.00%とすることを決定し、翌日から施行した。同金利は、新型コロナウイルスのパンデミック中に1.75%まで引き下げられていたが、2021年10月から引き上げられた。2023年5月からは13.25%の高水準に据え置いていた。引き下げの実行は3年3カ月ぶりとなる。

コロンビア国家統計局(DANE)によると、消費者物価上昇率は2023年1月以降、年間で13%を超える高率が続いたが、4月から低下に転じ、11月には10.15%まで低下した。かねて高い政策金利を維持する中銀の方針を批判していたペトロ大統領は、政策金利の引き下げ決定と同日に自身のX(旧ツイッター)アカウントを通じ、「良い知らせだ。インフレの低下とともに金利はさらに下げられ、経済回復が始まる」と発信した。同様に、各種メディアでも、今回の政策金利の引き下げについては、消費や投資を促進につながる、という好意的な見方が大勢を占めた。なお、2023年第3四半期のGDP成長率は0.3%のマイナスとなっており(2023年11月28日記事参照)、年間では1.0%前後のプラス成長が予想されている。

一方、今後予想されるディーゼル燃料価格の引き上げやエルニーニョ現象の影響、購買力の増加によるインフレ圧力を警戒する意見もあるほか、長期の高金利で支払い延滞が増加していることから、市中金利の引き下げ余地は限定的だとの見方もある。また、中銀のレオナルド・ビジャール総裁は12月20日付「エル・ティエンポ」紙において、現在労使および政府間で進められている2024年の最低賃金交渉について「年間インフレ予想の9.3~9.6%を大幅に上回る賃上げには慎重を期すべきだ」と注意喚起している。

(豊田哲也)

(コロンビア)

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