世界銀行、サブサハラ・アフリカの経済成長率を2024年3.8%、2025年4.1%と予測

(アフリカ、ニジェール、セネガル、ルワンダ、コートジボワール、コンゴ民主共和国、ナイジェリア、南アフリカ共和国エチオピア、アンゴラ)

調査部中東アフリカ課

2024年01月19日

世界銀行は1月9日に発表した報告書「Global Economic Prospects外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で、2024年の世界全体の経済成長率は2.4%の見込みで、成長率は3年連続で鈍化するとの予測を発表した。その中で、サブサハラ・アフリカの経済成長率は2024年に3.8%、2025年に4.1%になると予測している。サブサハラ・アフリカでは、肥料価格などの物価上昇率の落ち着きや、国際的な金融・金利状況の改善により、世界全体を上回る成長を見込む

サブサハラ・アフリカ諸国を国別に見ると、ニジェール、セネガル、ルワンダ、コートジボワール、コンゴ民主共和国の成長率が高い。経済規模で上位の3カ国をみると、2024年はナイジェリアが農業や建設、サービス、貿易分野の好調により、3.3%の成長を見込む一方、南アフリカ共和国は電力不足など整備が遅れているインフラが足を引っ張り、1.3%の成長にとどまる。アンゴラは石油・ガス分野の投資が減速するものの、2.8%の成長を見込む。

2024年の国別成長率を高い順に並べると、次のとおりとなる。2024年より2025年に成長が加速する国も多い(かっこ内は2025年の成長率予測値)。

  • ニジェール:12.8%(7.4%)
  • セネガル:8.8%(9.3%)
  • ルワンダ:7.5%(7.8%)
  • コートジボワール:6.5%(6.5%)
  • コンゴ民主共和国:6.5%(6.2%)
  • エチオピア:6.4%(7.0%)
  • ウガンダ:6.0%(6.6%)
  • ベナン:6.0%(6.0%)
  • ギニア:5.8%(6.2%)
  • ギニアビザウ:5.6%(4.5%)
  • タンザニア:5.5%(6.1%)

成長見通しに関するリスクについて、同報告書は、世界的な経済減速と貿易・生産の混乱、中東情勢の激化、干ばつ・洪水など災害の頻度・規模の悪化などがあるとしている。また、サブサハラ・アフリカの国々は中国との関係も深く、中国経済の減速が特に金属・鉱物資源の貿易などで影響するという。そのほか、コンゴ民主共和国、エチオピア、スーダンなどでの武力衝突や、ガボンやニジェールでのクーデターもあり、同地域の情勢によっては経済成長にも影響を与える。債務が多い国では、財政再建に失敗した場合、デフォルトリスクが増加するという。

なお、国連では2024年の北アフリカを含むアフリカの経済指標について、GDP成長率が3.5%(2024年1月5日記事参照)、物価上昇率が14.5%と予測している(2024年1月12日記事参照)。

(井澤壌士)

(アフリカ、ニジェール、セネガル、ルワンダ、コートジボワール、コンゴ民主共和国、ナイジェリア、南アフリカ共和国エチオピア、アンゴラ)

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