2023年のアフリカの物価上昇率は18.3%、2024年は14.5%との予測

(アフリカ、スーダン、ジンバブエ、シエラレオネ、ガーナ、エジプト、エチオピア)

調査部中東アフリカ課

2024年01月12日

国連経済社会局が1月4日に発表した報告書「2024年の世界経済情勢と展望外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」によると、2023年のアフリカの物価上昇率は前年比18.3%だった。世界全体の物価上昇率は前年比5.7%で、アフリカは物価上昇率の高さが際立つ結果となった。また、今後のアフリカの物価上昇率の予測では、2024年に14.5%、2025年に10.6%に低下するとしている。

国別にみると、2023年の物価上昇は、スーダンやジンバブエでは前年と比べて2倍以上となり、シエラレオネ、ガーナ、エジプトは30%以上の上昇になった。アフリカでの2023年の物価上昇率(前年比)の高い国は次のとおり。なお、2024年の予測では、物価上昇率が低下する国が多くなっている(かっこ内は2024年の物価上昇率予測値)。

  • スーダン:230.0%(122.3%)
  • ジンバブエ:154.0%(86.0%)
  • シエラレオネ:38.7%(42.7%)
  • ガーナ:38.1%(25.0%)
  • エジプト:34.2%(21.8%)
  • エチオピア:29.7%(22.3%)
  • マラウイ:27.7%(22.8%)
  • アンゴラ:25.6%(26.7%)
  • ナイジェリア:24.0%(22.5%)
  • 南スーダン:21.7%(18.6%)

燃料価格の高騰とこれに伴う物流コストの上昇に加え、アフリカでは食料価格が高騰した(2023年7月20日記事参照)ことも物価上昇率を押し上げる要因となった。アフリカは世界で最も食糧不足が深刻な地域であり、国連食糧農業機関(FAO)によると、全人口における中度または重度の食糧不足の人の割合は、世界全体では29.6%だが、アフリカでは約60%に達する。また、世界の貧困層の約半数はサブサハラ・アフリカに住んでいるという。

なお、報告書では、アフリカの経済成長率を2023年に3.3%、2024年に3.5%、2025年に4.5%と予測しているが(2024年1月5日記事参照)、物価高騰に加え、債務や政治的不安定さ、気候変動リスクなどがアフリカ経済に影響を及ぼすとしている。2023年の1人当たりGDPは、世界全体で1万1,409ドル、アフリカは前年比0.9%増の2,003ドルだった。

(井澤壌士)

(アフリカ、スーダン、ジンバブエ、シエラレオネ、ガーナ、エジプト、エチオピア)

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