ブリンケン米国務長官がアフリカ歴訪、民主主義など共通の価値観に基づく協力約束

(アフリカ、米国、カーボベルデ、コートジボワール、ナイジェリア、アンゴラ)

調査部中東アフリカ課

2024年01月29日

米国のアントニー・ブリンケン国務長官は1月21~26日、カーボベルデ、コートジボワール、ナイジェリア、アンゴラの4カ国を訪問した。アフリカを巡っては、中国の王毅・共産党中央政治局委員兼外交部長が1月14~17日にエジプト、チュニジア、トーゴ、コートジボワールの4カ国を訪問していた(2024年1月19日記事参照)。

最初の訪問先であるカーボベルデで、ブリンケン長官は同国のコレイア・エ・シルバ首相と会談し、アフリカ全域におけるパートナーシップの強化・拡大を約束した。シルバ首相は、両国が民主主義、グッドガバナンス、人権の尊重という価値観を共有しているとした上で、ロシアによるウクライナ侵攻や、ハマスによるテロ行為、西アフリカで相次ぐクーデターを非難した。

次にブリンケン長官はコートジボワールを訪問し、同国のアラサン・ワタラ大統領と会談し、両国が安全保障、経済、保健、環境など多岐にわたり強い絆で結ばれていることを確認した。また、西アフリカでクーデターが相次ぐ中、コートジボワールのリーダーシップを称賛した上で、紛争防止と治安対策として西アフリカに新たに4,500万ドルを提供することを発表した。ワタラ大統領は、安全保障などにおける米国の支援に謝意を示し、パートナーシップを通じた民主的レジームの構築に意欲を示した。

ブリンケン長官は3カ国目にナイジェリアを訪れ、同国のボラ・ティヌブ大統領、ユスフ・トゥガル外務相と会談した(2024年1月29日記事参照)。トゥガル外務相は、ナイジェリアがG20や国連安全保障理事会に代表として参加することが必要と述べた。ブリンケン長官はそれに対し、アフリカとのパートナーシップを強化していく上で、アフリカ最大の経済大国であり、最大の民主主義国家であるナイジェリアは不可欠だとし、働きかけを行うとした。また、安全保障については、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)におけるナイジェリアのリーダーシップを高く評価した。

最後にアンゴラを訪問したブリンケン長官は、同国のジョアン・ロウレンソ大統領、テテ・アントニオ外相と会談した。ブリンケン長官は、アンゴラの隣国コンゴ民主共和国(DRC)における政府軍と反政府武装勢力「3月23日運動(M23)」間の衝突(2022年12月9日記事参照)について、「ルアンダ・プロセス」を主導するロウレンソ大統領の和平に向けた努力をたたえた。また、両国は2023年に外交関係樹立30周年を迎えたが、アントニオ外相は「これまで調印したさまざまな協定を実行に移す重要な段階に入った」と述べ、パートナーシップの深化を示唆した。

(梶原大夢)

(アフリカ、米国、カーボベルデ、コートジボワール、ナイジェリア、アンゴラ)

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