中国の王毅外相がアフリカ歴訪、国家主権と領土保全をあらためて強調
(アフリカ、中国、エジプト、チュニジア、トーゴ、コートジボワール、中東、イスラエル)
調査部中東アフリカ課
2024年01月19日
中国の王毅・共産党中央政治局委員兼外交部長(以下、外相)は1月14~17日に、エジプト、チュニジア、トーゴ、コートジボワールの4カ国を訪問した。新年の中国外相のアフリカ訪問は今回で34年連続。同外相は今回の歴訪を通じて、パレスチナ情勢に触れつつ、あらためて国家主権と領土保全の順守を強調した。
最初の訪問先であるエジプトの首都カイロで王外相は、同国のサーメハ・シュクリー外相と会談し、主にパレスチナ情勢に関して議論した。共同声明の中で両者は、ガザ地区におけるインフラの破壊と人道状況を憂慮するとした上で、あらゆる国際法違反を非難した。中国は2023年11月に「ポジションペーパー」を公表し、全面的な即時停戦、民間人の確実な保護、人道支援の確保、外交面での調停強化、政治的解決の追求をうたっていた(2023年12月1日記事参照)。同ペーパーでは、イスラエルとパレスチナの「二国家解決」が必要とされていたが、王外相は今回、あらためてその重要性を強調した。
なお、パレスチナ情勢を巡っては、紅海においてイエメンの武装組織フーシ派による民間商船に対する攻撃が増加(2023年11月20日記事参照)しているが、王外相はこのことを非難した一方、米・英軍によるフーシ派への空爆についても同時に非難し、地域の主権と領土保全の尊重を主張した。
王外相は次にチュニジアの首都チュニスにおいて、同国のカイス・サイード大統領と会談した。両者は、人権と民主主義を口実にした内政干渉に反対の意を示した上で、あらゆる分野において連携を強化することを確認した。また、王外相はナビル・アンマル外務・移民・在外チュニジア人相とも会談し、2国間関係の強化のほか、パレスチナ情勢についても、パレスチナ人の正当な民族的権利の回復という正当な大義を共同で支持し続けることで一致した。
その後、トーゴを訪れた王外相は、首都ロメで同国のロベール・デュッセイ外務・地域統合・在外国民相と会談し、中国がトーゴとの各分野における協力を維持・拡大させていくとした。また両者は、「一帯一路」構想の原則をあらためて確認し、同構想の共同建設の実施を含め、トーゴの発展・近代化を共に進めることで一致した。
最後に、王外相はコートジボワールを訪問した。アビジャンにおいて同国のカクウ・ウアジャ・レオン・アドム外務・アフリカ統合・在外自国民相と会談し、両者は経済・貿易、投資、インフラ、教育・訓練、農業など幅広い分野での協力について議論したほか、ここでも「一帯一路」の堅持について確認した。また王外相は、3年おきに開催され、2024年に北京で開催予定の「中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)」について触れ、同会合が中国とアフリカの協力において大きな成果を上げていることを強調し、今後もアフリカが国家主権を維持しながら発展していくことを支持するとした。
(梶原大夢)
(アフリカ、中国、エジプト、チュニジア、トーゴ、コートジボワール、中東、イスラエル)
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