2023年のイスラエルのハイテク投資総額は56%減少、第4四半期はハマスとの軍事衝突の影響も

(イスラエル、米国)

テルアビブ発

2024年01月23日

イスラエルのハイテク分野に特化した調査会社IVCと、ハイテク向け金融サービス会社レウミテックは1月17日、2023年のイスラエルのハイテク企業の動向をまとめた「2023年イスラエル・テックレビュー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を公表した。

報告書によると、ハイテク投資は2023年も減少傾向が続いた(2022年12月23日記事参照)。投資ラウンド件数は393件、投資総額は69億ドルで、2022年と比較すると、件数は43.6%減少、投資総額は56.1%減少した。特に2023年第4四半期(10~12月)はイスラエルとハマスとの軍事衝突の影響により、投資ラウンド数は76件、投資額は14億ドルにとどまった。

ステージごとに見ても、アーリーステージの投資額は18億ドル(前年比59.2%減)、ミドル・レーターステージは51億ドル(52.2%減)といずれも減少した。イスラエルのユニコーン企業の投資ラウンド件数は14件(61.1%減)と、2015年以降で最小となり、投資額は18億ドル(51.0%減)だった。2023年に誕生したハイテクユニコーンは4社のみ(80.0%減)だった。

分野別でみると、投資ラウンド件数が最も減少したのはモノのインターネット(IoT)で、24件と前年から半減し、投資額は6億ドル(前年比48.4%減)だった。サイバーセキュリティーは9件(30.8%減)で、投資額は19億ドル(48.7%減)だった。同分野では、1億ドルを超えるディールが5件あった。

外国投資家による投資額は51億ドルで、全体の75.7%を占めた。投資件数は、外国投資家が274件で、イスラエル投資家は197件だった。

2023年のハイテク分野の投資回収(イグジット)をみると、M&Aは98億ドル(前年比22.0%減)で、件数は85件(32.5%減)だった。 国別でみると、米国企業によるM&Aは46億ドル、その他外国企業は53億ドル、イスラエル企業は8億ドルだった。

2023年の新規株式公開(IPO)は4件で、前年から66.7%減少した。4件のIPOはいずれも米国の株式市場で行われた。

イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。

(アリサ・ノスキン、中溝丘)

(イスラエル、米国)

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