金融政策を維持、2024年のインフレは一段と軟化へ

(シンガポール)

シンガポール発

2024年01月31日

シンガポール通貨金融庁(MAS、中央銀行に相当)は1月29日、これまでの金融政策を維持すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同庁が金融政策の維持を発表するのは2023年4月、10月に続いて3回目となる。

MASは発表で、国際的な経済危機がこの先ない限り、「シンガポール経済は2024年、一段と強化が予想され、成長がより幅広い分野にわたる」との見通しを示した。政府の公式予測外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、同年のGDP成長率は前年比1.0~3.0%増となる見込みだ。同庁は「コアインフレ率(注)が2024年初頭まで上昇を続けるが、第4四半期(10~12月)までに段階的に下落し、2025年には一段と下落が見込まれる」と予測した。このことから、「現行の金融政策は引き続き適正だ」として、通貨シンガポール・ドル(Sドル)の名目為替実行レート(NEER)の誘導目標帯(許容変動幅)の現在の引き上げ率を維持すると説明した。

MASは金融政策の手段として政策金利を設定せず、2023年まで4月と10月の2回、Sドルの為替変動幅の見直しを行っていた。同庁は2023年10月、これまで半期に1度(4月、10月)だった金融政策の見直しを2024年から四半期ごと(1月、4月、7月、10月)に実施する方針を明らかにした(2023年10月16日記事参照)。

2023年の消費者物価指数は前年比4.8%増、2024年は2.5~3.5%へと軟化へ

2023年の総合消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比4.8%増と、2022年の6.1%増と比べると軟化した。同庁は、新築住宅物件の供給増による住宅インフレの軟化がガソリン代上昇に伴う民間輸送費の上昇分と相殺されたことで、全体のインフレを抑制したとしている。2023年のコアインフレ率は4.2%増だった。

また、同庁は2024年の総合CPIについて「前年比2.5~3.5%増」と、一段と軟化するとの見込みを示した。2024年のコアインフレ率も「2.5~3.5%増」と予想している。

(注)コアインフレ率は、総合消費者物価指数から住宅関連費と自家用道路交通関連費を除いたもの

(本田智津絵)

(シンガポール)

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