金融政策を維持、見直し頻度を年4回に

(シンガポール)

シンガポール発

2023年10月16日

シンガポール通貨金融庁(MAS、中央銀行に相当)は10月13日、金融政策を維持すると発表した。据え置きは4月に続いて2回連続(2023年4月17日記事参照)。

MASは政策金利ではなく、シンガポール・ドル(Sドル)の名目実効為替レート(NEER)の誘導目標(政策バンド)を定める金融政策を実施している。MASは今回の声明で「シンガポールの(実質)GDP成長率が2024年にかけて徐々に改善すると予想されている。しかし、世界経済の見通しは依然不確実で、国内の回復も予想より弱まる可能性がある。MASコアインフレーション〔消費者物価指数(総合)から住宅関連費と自家用道路交通関連費を除いた指数、MASコア〕は鈍化しており、2024年にかけて広範に低下する」との見方を示した上で、政策バンドの傾き(上昇率)を実勢水準で維持するとともに、幅、中心値を据え置いた。

MASコアの上昇率については、2023年は前年比で約4%、2024年は同2.5~3.0%との見通しを示した。MASは声明で「原油価格がここ数カ月上昇しているが、良好な供給状況によって、ほとんどの食料品、また中間財、最終財の国際価格が緩和されるはずだ。一方、労働市場が徐々に冷え込むのに伴い、単位労働コストは来年(2024年)、より緩やかなペースで上昇すると見込まれる」とした。

MASは今回の声明で、これまで例外を除いて半期に1度(4月、10月)だった金融政策の発表を2024年から四半期ごと(1月、4月、7月、10月)に実施することを明らかにした。MASは「金融政策コミュニケーションを強化するMASの継続的な取り組みの一環」とし、2024年1月2日に同月の発表日を明らかにする。MASは2021年10月から2022年10月まで、インフレの抑制を狙い、5回連続で引き締めを発表。2022年には通常の4月と10月に加えて、1月と7月にも臨時の見直しを実施した。

(朝倉啓介)

(シンガポール)

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