スズキ、年産400万台に向けインド西部GJ州に第5工場建設を計画

(インド、日本)

アーメダバード発

2024年01月16日

インド西部グジャラート(GJ)州ガンディナガールで1月10日、インド最大規模の投資誘致イベント「バイブラント・グジャラート・グローバル・サミット2024」開会式が開催された。ナレンドラ・モディ首相が参列した同式典において、スズキの鈴木俊宏社長は著名企業家の1人として主賓あいさつし、インド子会社マルチ・スズキが、GJ州に総額3,500億ルピー(約6,000億円、1ルピーは約1.7円。土地取得費を除く)を投資し、新工場を設置する計画であることを発表した。2028年度の稼働を目指し、将来的には年間生産能力100万台を確立する。

鈴木社長はあいさつの中で、「モディ首相による製造業への指導と強力な支援により、自動車産業は着実に成長し、インドは世界3位の自動車市場に成長した。スズキもインド市場とともに着実に成長し、さらなる投資計画を進めている」と述べた。新工場の建設計画のほかにも、(1)インド第3工場であるGJ州ハンサルプールのスズキ・モーター・グジャラート(SMG)に320億ルピーを投資し、2026年稼働を目指し第4生産ラインを増設する、(2)2024年内にスズキ初となるバッテリー式電気自動車(BEV)の生産をGJ州で開始し、新モデルを日本、欧州に輸出すると説明した。

同社長はまた、化石燃料のみならず、圧縮天然ガス(CNG)、バイオガス、バイオエタノール、グリーン水素など環境に配慮した多様な選択肢で、消費者に向けた持続可能なモビリティーの選択肢を用意すると明らかにした。その一例として、GJ州では牛ふん由来の圧縮バイオメタンガス(CBG)を製造する取り組みが進んでおり、4つの工場を建設中だと語った(2023年9月19日記事参照)。

同イベントでジェトロが開催した「ジャパン・セッション」(1月10日)に登壇した同社の鮎川堅一副社長は、2030年を目標にインド全拠点を合わせた年間生産台数を400万台以上(2022年の約2倍)に増強する計画だと述べた。

スズキは、ハリヤナ州のグルガオン(第1工場)、同マネサール(第2工場)、GJ州ハンサルプール(第3工場)に既に製造拠点がある。第3工場の第4ラインが完成すれば、第3工場の年間生産能力は、現在の75万台から100万台に拡大する。拡張は同社が進めるBEVの生産準備が背景にあり、3工場の年産能力は250万台規模となる見込み。

さらに、建設中のハリヤナ州カルゴダ(第4工場)でも、段階的に100万台規模に生産能力を伸ばす計画を公表しており、今回新たに発表されたGJ州での第5工場での年産能力100万台分が追加されることで、400万台計画をさらに後押しすることになる。GJ州拠点単体でみれば、第3工場と第5工場を合わせ、将来的には合計200万台となり、GJ州はスズキの一大生産拠点となる。

(古川毅彦)

(インド、日本)

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