スズキがGJ州で牛ふん由来のバイオ自動車燃料CBGの製造を発表

(インド)

アーメダバード発

2023年09月19日

スズキは9月6日、在日インド大使館において、スズキR&Dセンター・インディア(SRDI)、全国酪農開発局(NDDB)、アジア最大級の乳製品メーカーのバナス・デイリー〔本社:グジャラート(GJ)州〕の3者間で、インドにおけるカーボンニュートラル実現に貢献する、バイオガス製造プラントの設置に関する契約を締結した。

同プロジェクトは、牛ふんを発酵させて発生するバイオガスを精製し、自動車用燃料として圧縮天然ガス(CNG)の代替となる圧縮バイオメタンガス(CBG)を製造することが目的だ。計画では、2025年からGJ州バナスカンタ県で4基のバイオガス製造プラントを稼働させ、4工場の総投資額は23億ルピー(約41億円、1ルピー=約1.8円)とされる。また、各工場に併設してバイオガス充填(じゅうてん)スタンドを設置し、マルチ・スズキがインド市場で70%以上のシェアを持つ、CNG車向けに燃料を供給する予定だ。

同プロジェクトにおいてSRDIは、NDDBが設置する工場設立の資金援助を行い、バナス・デイリーは、プロジェクトのための土地の手配とプラント運営を行う。製造過程で発生する副産物は有機肥料の生産に利用され、化学肥料の使用量削減と土壌の健全性向上に大きく貢献する。さらに、自動車部門と酪農部門が協働し、牛ふんの販売による農家の収入向上、バイオガスの自動車への活用、有機肥料の生産、両部門の二酸化炭素(CO2)排出量の削減など、複数の利益を達成する初めての試みとなる(NDDBプレスリリース)。

スズキ本社の鈴木俊宏社長は「スズキは、国や地域の状況に応じた温室効果ガス(GHG)削減に取り組んでおり、インドにおいては削減効果が高いといわれるバイオガスに、期待を寄せている。スズキは、バイオガス製造事業への積極的な取り組みを通じて、カーボンニュートラルの実現に貢献していく」と述べている(9月6日付スズキプレスリリース)。

SRDIは、2022年8月に開催された「スズキ・インド進出40周年記念式典」(2022年9月1日記事参照)で設立が発表された、スズキ100%出資の研究開発センター。同社はSRDIを通じて、研究開発の競争力と能力強化のための枠組みを確立し、インド国内の豊富な技術系人材と連携・協力し、インドのみならず、世界市場向けの新技術を開発するとしていた。

(古川毅彦)

(インド)

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