米エネルギー省、小型原子炉向けの燃料サプライチェーンに関する提案依頼を発表

(米国)

ニューヨーク発

2024年01月11日

米国エネルギー省(DOE)は1月9日、小型モジュール式原子炉(SMR)向けに高純度低濃縮ウラン(HALEU)の国内サプライチェーンを確立するための新たな提案依頼を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。提案書の提出期限は米国東部時間3月8日午後5時。

米国を含む22カ国は、2050年までに原子力発電容量を3倍にするとの宣言を発表した(2023年12月6日記事参照)。次世代原子炉の導入に必要とされるHALEUは米国に本拠を置く事業者による商用販売はなく、ロシアとその同盟国に依存しており、このサプライチェーンの確保が課題となっていた(2022年8月15日記事参照)。2022年からDOEの支援を受けたセントラス・エナジー(本社:メリーランド州ベセスダ)は第1段階のHALEUの生産実証で20キログラム以上を納入して完了、第2段階としてオハイオ州ピケトンで年間900キログラムの生産に入るとしている。

エネルギー省は、これに続く成功例を創出すべく、インフレ削減法に基づく資金5億ドル(ウランの処理に関する別契約を含む)を原資として、最長契約期間10年、最低発注額として200万ドルを保証という条件の下でHALEU濃縮契約を採択したい考えだ。今回の発表について、アリ・ザイディ大統領補佐官(気候変動担当)は「国内のウラン供給量を増加させることは、バイデン政権の歴史的な気候変動対策を前進させるだけでなく、米国のエネルギー安全保障を強化し、高賃金の労働組合の雇用を創出し、競争力を強化することにもつながる」と述べ、その意義を強調した。

(加藤翔一)

(米国)

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