税務当局、出向者給与などへのGST課税は個別判断との指示書を発出

(インド)

ニューデリー発

2023年12月20日

インド財務省間接税関税中央委員会(CBIC)の物品・サービス税(GST)政策局は12月13日、外国の親会社からインド子会社への出向者の派遣を「人的派遣サービスの提供」とみなすかどうかは、個別に判断すべきとする指示書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発出した。インド国内では2022年5月以降、親会社が本国で立て替えた出向者の給与の子会社による精算などは「人的派遣サービスの提供に対する対価」に当たり、過去にさかのぼってGSTを納税すべき、と税務官が主張する事例が増加し、日系を含む外資系企業が対応に苦慮していた(2023年5月25日記事参照)。

インド最高裁判所は2022年5月、米国系インド子会社ノーザン・オペレーティング・システムズ(NOS)を巡る裁判において、同社に籍を置く国外グループ会社からの出向者が出向期間中も実質的には国外グループ会社の従業員だったと認定。国外グループ会社が本国で立て替えた出向者の給与などのNOSによる精算は「人的派遣サービスの提供に対する対価」に該当するとして、リバース・チャージ方式によるサービス税(GSTの前身)の課税適用が妥当と判断していた。

他方、CBICは今回の指示書において、海外から出向者を受け入れる企業すべてに対し、この最高裁判決が「機械的に一律適用されるべきではない」とした。

また、CBICは、企業に不正行為などがあった前提で税務担当官が調査する事例が多く報告されていることにも言及した。2017年中央物品・サービス税(CGST)法において、納税者に「不正行為、故意の虚偽記載、脱税のための事実の隠ぺい」があった場合、一般的に適用される第73条ではなく、調査対象期間の追加遡及(そきゅう)や重罰化などを定めた第74条が適用される(2023年8月発行調査レポート「インドにおける税関や税務調査の基礎知識」参照)。CBICは今回の指示書において、納税者の未納付という事実のみをもって第74条を適用することはできず、不正行為などを示す十分な物的証拠が必要とした。

(広木拓)

(インド)

ビジネス短信 fafe5c9445504379