第3四半期のGDP成長率は前期比0.2%増、2023年前半から鈍化

(オーストラリア)

シドニー発

2023年12月13日

オーストラリア統計局(ABS)は12月6日、2023年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率が前期比0.2%(季節調整値)と発表した。前年同期比では2.1%だった。(添付資料表1、表2参照)。第2四半期(4~6月)の前期比0.4%からさらに鈍化し、3四半期連続で前期の伸びを下回った。ABSは、今期成長は政府支出と公的部門を中心とする設備投資の伸びが下支えしたと説明した。

需要項目別でみると、政府最終消費支出が前期比1.1%増だった。給付対象世帯への社会給付(病気、失業手当など)、2023年7月から開始された2つの手当(注)、国際演習に関する防衛関係支出が増加したことが影響した。国内総固定資本形成は前期比1.1%増で、連邦政府、各州・準州政府の公社による公共交通や通信、電力分野事業への投資の増加、民間の鉱業部門の投資増加による関連施設の建設設備投資の増加が影響した。GDPの約50%を占める民間最終消費支出は前期比0.0%で横ばいが続いている。財貨・サービスの輸出は前期比0.7%減だった。内訳をみると、石炭や液化天然ガス(LNG)、鉄鉱石の需要が弱まり、輸出先での在庫積み上がりによる鉱物輸出の減少などが影響した。一方で、留学生の受け入れ増加により、教育関係などの旅行サービスの輸出は増加した。財貨・サービスの輸入は前期比2.1%増で、オーストラリア国民の海外旅行の増加や、産業用輸送機器の輸入増加、9月の米国アップルのスマートフォン「iPhone15」の発売に伴う通信機器の輸入増加が影響した。

産業部門別にみると、サービス業で軒並み増加した。最も伸び率が大きかった情報通信業は前期比2.6%増、次に医療サービスが1.8%増、運輸・郵便・倉庫業が1.5%増だった。主要産業の鉱業は、多くの鉱山でメンテナンスが行われ、生産が中断されたことで、1.0%減少した。農林水産業は、エルニーニョによる乾燥した気候が農業生産に影響を与えた結果、3.5%減少した。電気・ガス・水道・廃棄物処理業は2.6%減だった。例年より暖かい気候だったため電力需要が減少した。

(注)一部の世帯や中小企業を対象とした電力料金支援給付金(2023年1月16日記事参照)、子育て、介護、医薬品購入に対する特別手当などへの支出

(青島春枝)

(オーストラリア)

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