オーストラリア政府、企業や世帯向けのエネルギー価格高騰対策を発表

(オーストラリア)

シドニー発

2023年01月16日

オーストラリア連邦政府によるエネルギー価格高騰に対する企業や世帯への支援策に関する法案が1215日、連邦議会両院で可決された。連邦政府は法律の成立に先立ち、129日に「エネルギー価格救済支援策(Energy Price Relief Plan)」を発表していた。

同支援策では、ガスや石炭の国内卸売価格に上限額を設定する。ガスは、未契約の卸売価格について1ギガジュール当たり12オーストラリア・ドル(約1,080円、豪ドル、1豪ドル=約90円)の上限を設定し、石炭については、ニューサウスウェールズ州とクイーンズランド州で発電用石炭1トン当たり125豪ドルの上限を設定する。いずれも期間は暫定12カ月間で、期間中に国内卸売市場で上限を超える価格でガスや石炭を販売することができなくなる。実施の詳細は3月までに決定する。政府は支援策の効果として、この支援策を実施しなかった場合は平均的な世帯の20231年間のエネルギー料金は230豪ドル高くなると試算している。

また、支援策の一環として、一部の世帯や中小企業向けに電力料金に対する支援を行うため、15億豪ドルの「電力料金救済基金(Energy Bill Relief Fund)」を設立すると説明した。電力料金支援の対象は給付金を受給している世帯や年金受給者、中小企業など。支援方法は対象者の所在する州(準州)政府より電力料金の請求書から控除を直接受けることとなる。

アルバニージー首相は1215日の議会で行ったスピーチで、エネルギー価格救済支援策は国内の企業、製造業、雇用、家庭を支援するものであり、非常に重要で緊急に実施する必要があると表明した。また、インフレを抑えるために電力料金を削減する支援策を実施するとした。さらに、今回の支援策と併せて将来的な改革として、国家送電網再整備計画(Rewiring the Nation2022年12月2日記事参照)の下で実施するプロジェクトなどを通じで、安価でクリーンな再生可能エネルギーの確保を目指し実施していくと説明した。

(青島春枝)

(オーストラリア)

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