イタリア政府、「一帯一路」構想からの離脱を中国に通知

(イタリア、中国)

ミラノ発

2023年12月18日

イタリアの主要紙「コリエーレ・デラ・セーラ」などは12月6日、イタリア政府が中国に対し、「一帯一路」構想からの離脱を通知する書簡を送ったと報道した。政府が離脱を検討していることについては度々報じられてきたが、現在まで決定的な動きはみられなかった。

ジョルジャ・メローニ首相は7日、記者の質問に対し「中国との通商や経済協力関係は維持し、より改善されていくべき」とし、イタリアは「一帯一路」構想からの離脱にかかわらず、今後も中国とは良好な関係を築いていくとの方針を示した。その上で「(2019年に「一帯一路」構想に参加した)ジュゼッペ・コンテ元首相は、(G7で)イタリアが唯一の参加国であるにもかかわらず、欧州においてすら、イタリアが中国の最大の貿易相手国になっていないことについて説明をすべき」とし、十分な成果が得られなかったことに言及した。2012~2022年の貿易額の推移をみると、中国に対するイタリアの貿易赤字は拡大傾向にある。

同じくアントニオ・タヤーニ外務・国際協力相も6日、記者に対し「われわれは既に来年(2024年)、イタリア・べローナで中国との政府間会合を予定している。国際レベルでは競争相手でもあるが、非常に良い関係を構築できている」と述べていた。

メローニ首相は9月にインドで開催されたG20サミットの際、中国の李強首相と会談を行っており、友好関係を強調した。また、同月にタヤーニ外務相が訪中し、イタリアにとって中国はアジアの主要な貿易相手国とアピールしていた(2023年10月12日記事参照)。

報道によると、離脱について公式発表などを行わずに進めたのは、両国間の関係を維持する上での配慮という見方が強い。「ラ・レプブリカ」紙(12月6日付)は、この政府の対応が奏功していると評価し、中国政府が滞在期間15日以内のビザ免除措置の対象国にイタリアを含めたこと(2023年11月29日記事参照)などを挙げ、少なくとも現時点で中国側から非難はないとしている。

(平川容子)

(イタリア、中国)

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