広州モーターショー、展示車両の40%以上が新エネ車

(中国、日本)

広州発

2023年12月08日

広州モーターショーが11月17~26日、中国広州市で開催され、延べ84万7,000人が来場した。公式SNSアカウントによると、展示された車両数は1,132台、うち新エネルギー車は41%の469台、さらにそのうち中国資本系メーカーによる出展は350台だった。BYDの「シーライオン07」、トヨタの「カムリ」(9代目)など、59のモデルがワールドプレミアを果たした。日系完成車メーカーとしては、トヨタ、ホンダ、日産、マツダ、スバルが出展した(注1)。

多数の新エネルギー車が発表される中で、ターゲット層を明確に打ち出すことで差別化を図る流れも見られた。東風汽車集団が展開する「エム・ヒーロー(猛士科技)」の本格オフロード車「917」は、悪路走破性モードなどアウトドアに特化した機能や装備をアピールした。長城汽車のブランド「オラ(欧拉)」は女性をターゲットにしたモデル「バレエキャット」の外装カスタム車を展示。車に個性やファッション性を求める女性への訴求効果を図った。各社がしのぎを削る車載インフォテインメント領域では、上海汽車グループ傘下の「ライジング・オート(飛凡汽車)」が発表した「R7」の2024年型モデルへの、華為技術(ファーウェイ)の最新型拡張現実型ヘッドアップディスプレー(AR-HUD)搭載が注目を集めた(注2)。

写真 アウトドアテイストを強調した「917」の展示車両(ジェトロ撮影)

アウトドアテイストを強調した「917」の展示車両(ジェトロ撮影)

写真 長城汽車のブランド「オラ」はユーザーとメーカーが共同でカスタムした車両を展示(ジェトロ撮影)

「オラ」はユーザーとメーカーが共同でカスタムした車両を展示(ジェトロ撮影)

日本企業、模倣品対策の啓発活動実施

在中国の日系企業などが主体となる知的財産関連の問題解決を目的とした団体「中国IPG」と日本自動車工業会(JAMA)による模倣品対策の啓発を狙ったブースも設置された。模倣品と正規品の比較展示などを通じ、危険性や問題点について発信した。同ブースの責任者を務めたカヤバの馬場氏はジェトロのインタビューで、「中国内での模倣品流通は減ってきているが、依然として買っている人もいる。展示を通じて外観では見分けるのが難しい精巧な模倣品があることを伝え、正規ルートでの購入を促したい」と語った。

写真 中国IPGなどのブース。ディスプレーされた製品が模倣品か正規品かを当てるクイズもあり、来訪者の興味を引く工夫が施された(ジェトロ撮影)

中国IPGなどのブース。ディスプレーされた製品が模倣品か正規品かを当てるクイズもあり、来訪者の興味を引く工夫が施された(ジェトロ撮影)

(注1)中国企業との合弁企業やサブブランド名義での出展を含む。

(注2)車載インフォテインメントは、車内空間を通じて乗客に情報(information)や娯楽(entertainment)を提供するシステムを指す。AR-UDは拡張現実(AR)とARとヘッドアップディスプレー(HUD)の技術を組み合わせ、ドライバーの視界に連動してフロントガラスに運転に必要な情報を表示する技術。

(小野好樹)

(中国、日本)

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