米USTR、キャタピラーのメキシコ子会社での労働問題解決を発表

(米国、メキシコ)

ニューヨーク発

2023年12月25日

米国通商代表部(USTR)は12月22日、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に基づいて、メキシコ政府に事実確認を要請していた米建機大手キャタピラーのメキシコ子会社テクノロヒア・モディフィカーダでの労働問題が解決したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

今回の件について、米国政府は2023年10月、メキシコの新興独立系労働組合の申し立てを受け、USMCAが定める「事業所特定の迅速な労働問題対応メカニズム(RRM)」に基づいて事実確認を要請した(2023年10月30日記事参照)。要請を受け、メキシコ政府は調査を行い、企業側による労働権侵害に当たる行為が存在したことを確認。同社は不当に解雇された労働者への福利厚生の提供に合意したり、団結の自由・団体交渉権への不干渉の宣言などの対応を取ったりしため、メキシコ政府は12月8日に調査が完了したことを米国に通知していた(2023年12月15日記事参照)。

USTRはプレスリリースで、キャタピラー子会社とメキシコ政府が取った対応策として、メキシコ政府の発表とおおむね同じ内容を記した。USTRのキャサリン・タイ代表は、労働者の権利が完全に尊重されるよう、同社で現在行われている労働争議と団体交渉のプロセスに関する雇用者側の慣行を引き続き監視していく意向を示した(注)。

問題解決に伴い、タイ代表はメキシコ政府への事実確認要請と同時に停止していたキャタピラー子会社からの輸入に関する関税の精算を再開するよう、財務長官に要請した。今回の問題解決により、米国がメキシコに対してこれまで発動した合計18件のRRM案件のうち、10件が解決したことになる(添付資料参照)。

(注)USTRの発表によると、現在ストライキに参加し働いていない労働者についても、職場に復帰した際に団結の自由と団体交渉権に関する研修を行うことをキャタピラー子会社とメキシコ政府は約束している。

(甲斐野裕之)

(米国、メキシコ)

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