ユーラシア経済連合との自由貿易協定、イラン国内の反応

(イラン、ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、アルメニア)

テヘラン発

2023年12月28日

ユーラシア経済連合(EAEU)とイランとの自由貿易協定(FTA)が12月25日、ロシア・サンクトペテルブルクで開催された最高ユーラシア経済評議会の会合で調印された(2023年12月28日記事参照)。

今回の調印について、イラン政府広報局(Dolat.ir)(12月26日付)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、「特恵関税による貿易から自由貿易への移行、3年間の交渉を経てユーラシアとの自由貿易(協定)が署名された」との見出しの記事で、イランと近隣諸国・地域との貿易関係強化の新たな章が始まるとした。同記事は、本協定にかかる経緯や、特恵関税貿易によって増加してきた加盟国との貿易が今後さらに増加する可能性、期待される効果などを肯定的に報じている。

政府系のイスラーム共和国通信(IRNA)(12月25日付)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、「イランが上海協力機構に加盟し(2023年7月5日記事参照)、2024年初頭からBRICSの新たなメンバーとして受け入れられることに続き(2023年8月30日記事参照)、今回のユーラシア経済連合との自由貿易協定の署名は、イランと諸外国との貿易関係の発展に向けたもう1つの重要な一歩であり、イブラーヒーム・ライーシー政権の近隣国重視の外交政策が成功していることの表れだ」としている。

主要各紙では、強硬派とされるタスニム通信(12月25日付)は、本協定の署名は「継続した交渉の成果で、貿易交流の発展に対する障害を除去する加盟各国とイランの決意の表明」とした。同様に強硬派とされるファールス通信(12月25日付)も、「本協定により、わが国の実業家に新たな市場が開かれることになる」というアッバース・アリーアーバーディー産業・鉱業・貿易相の発言を引用し、肯定的に報じている。

一方で、改革派に近いとされる「シャルグ」紙(12月26日付)は、「ユーラシア、吉か凶か」と題し、税関の統計を詳しく調べると、加盟各国との貿易量は、過去も倍増しておらず、大きな変化がないだけでなく、貿易収支は輸入超過のマイナスとし、各国との貿易量・額の推移を説明、今後についても懐疑的な内容の記事を掲載している。

(鈴木隆之、マティン・バリネジャド)

(イラン、ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、アルメニア)

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