米FRB、FOMC参加者による経済見通しを発表、2024年は3回分の利下げを示唆

(米国)

ニューヨーク発

2023年12月14日

米国連邦準備制度理事会(FRB)は12月12~13日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し(2023年12月14日記事参照)、政策金利の誘導目標などを含む声明文と併せて、FOMC参加者による中長期経済見通しを提示した(添付資料表参照)。主な内容は次のとおり。総じて経済の軟着陸(ソフトランディング)に向けて進んでいることをうかがわせる内容だった。

(1)FF金利

2024年の政策金利のフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標の予測中央値は4.6%(前回見通し5.1%、2023年9月21日記事参照)とされ、現在の水準(5.25~5.50%)から3回分(注)の引き下げが示唆された。前回見通しでは2024年の引き下げ幅は2回分で、よりハト派的なスタンスになったといえる。ただし、参加者によって見解は分かれており、2024年の金利水準について、中央値よりもタカ派のスタンスを示した参加者が8人(現在の水準を維持するべき:2人、1回分の引き下げ:1人、2回分の引き下げ:5人)。他方、よりハト派のスタンスを示した参加者が5人(4回分の引き下げ:4人、6回分の引き下げ:1人)。中央値と同じく、3回分の引き下げを予想した参加者は6人となっている。なお、さらなる金利水準の引き上げを予想した参加者はおらず、2022年3月から続いていた利上げのサイクルは事実上終了したと受けとれる内容となっている。一方で、ジェローム・パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、「政策金利は、引き締めサイクルのピークかそれに近い水準にあると考えているが、パンデミック以降、経済はさまざまな意味で担当者を驚かせており、2%のインフレ目標に向けた継続的な進展は保証されていない。われわれは必要に応じてさらに金融政策を引き締める用意がある」とも述べており、利上げサイクルの終了は公式には宣言されていない。

(2)経済成長率

2024年の経済成長率の予測中央値は1.4%と、前回見通しから0.1ポイント下方修正された。他方で、FOMC参加者の予測レンジは0.8~2.5%の間で、前回見通し(0.4~2.5%)よりも集束している。

(3)インフレ率

2024年のインフレ率(PCE)の予測中央値は2.4%と、前回見通しから0.1ポイント下方修正された。FOMC参加者の予測レンジは2.1~2.7%の間だった。同コアインフレ率(コアPCE)の予測中央値は2.4%と、こちらも前回見通しから0.2ポイント下方修正された。参加者の予測レンジは2.3~3.0%の間だった。インフレ率低下のスピードに幅はあるものの、徐々に低下していくという点では一致している。

(4)失業率

2024年の失業率は前回と変わらず4.1%だった。FOMC参加者の予測レンジは3.9~4.5%で、前回見通し(3.7~4.5%)よりもやや集束した。

(注)通常FF金利は0.25ポイントの幅で利上げ・利下げが発表される。

(加藤翔一)

(米国)

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