在欧日系企業の2023年営業利益「黒字」見通し、新型コロナ禍前の水準に回復
(欧州)
調査部欧州課
2023年12月26日
ジェトロが12月26日に公表した「2023年度 海外進出日系企業実態調査(欧州編)」(2023年12月26日記事参照)によると、2023年の営業利益見通しについて、在欧日系企業の「黒字」割合は69.4%で、新型コロナウイルス禍前とほぼ同じ水準となった。2020年には新型コロナ感染拡大の影響を受けて「黒字」を見込む企業が2019年の70.5%から22ポイント低下の48.5%と、2012年調査以降の最低となった。2021年、2022年と「黒字」を見込む企業の割合は回復し、2023年は2019年の値にさらに接近した。また「赤字」割合についても、2020年には前年比14.5ポイント増の28.2%と過去最高を更新したが、2021年(16.3%)、2022年(16.2%)に続き、2023年は14.1%まで減少して、ほぼ新型コロナ禍前の水準に戻った。地域・業種別にみると、2022年度調査で「赤字」見通しが増加した中・東欧の製造業で、2023年は前年から18.9ポイントの大幅な減少となり、29.9%だった。一方で、同じく「黒字」見通しは前年から24.6ポイント増加の62.1%と、2019年の59.1%を超えた。
前年実績比の2023年の営業利益見込みについて、「改善」と「悪化」それぞれの理由を欧州全体で見ると、「改善の理由」については「現地市場での需要増加」が52.0%と最も多かった。「悪化の理由」では、前年6位だった「人件費の上昇」が11.4ポイント増加の43.3%となり、2位に浮上した。
2023年と比較した2024年の営業利益見込みについては、欧州の全業種では「改善」が40.1%で、前年調査と比べて2.2ポイント増加。「横ばい」が49.2%(4.0ポイント増)、「悪化」が10.7%(6.1ポイント減)だった。
調査年と比較した翌年の営業利益見込みの推移では、「改善」と回答した企業が5割を超えた2020年度調査(55.0%)以降、2021年は49.7%、2022年は37.9%と減少傾向にあったが、2023年の調査では増加に転じた。
調査結果の詳細は、ジェトロ調査レポート「2023年度 海外進出日系企業実態調査(欧州編)」を参照。
(平井美咲)
(欧州)
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