11月の消費者物価上昇率は再び前月比2桁増に、12月はさらなる悪化予測

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2023年12月22日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は12月13日、11月の消費者物価指数(CPI)上昇率が全国平均値で前月比12.8%増だったと発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。8月、9月に前月比2桁増を記録した後、10月は8.3%と鈍化したが、11月は再び拡大した。前年同月比(年率)では160.9%増と、10カ月連続で100%を超えた(添付資料図参照)。2023年初からの累計の物価上昇率は148.2%に達した。

前月比の伸び率を11月単月でみると、季節によって価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスは12.8%増、エネルギーや公共サービスなど価格統制された財・サービスは10.1%増、季節要因と価格統制要因を除いたコアインフレ率は前月比13.4%増と、いずれも前月比の伸び率が拡大した。

前月比の伸び率を費目別にみると、平均値を大きく上回ったのは、医療・健康の15.9%、食品・飲料(酒類を除く)の15.7%増、通信の15.2%増(添付資料表1参照)。INDECによると、医療・健康の急増は、医薬品の価格や民間医療保険料が大幅に上がったためだ。CPIに占める比重が大きい食品・飲料(酒類を除く)は、特に飲料水や果汁、果物や野菜が大きく値上がりした。通信も携帯電話料金、インターネット料金の値上がりが押し上げた。

複数のメディアは、11月に物価が加速した原因として、15日に公式為替レートの固定が解除されて自国通貨ペソが切り下がったことや、19日の大統領選挙決選投票後に価格凍結制度が解除されたことを挙げている。12月13日付の現地紙「アンビト」(電子版)によると、エコノミストらは、12月単月の物価上昇は前月比25%~28%と、さらに加速すると予測している。また、12月10日に発足したハビエル・ミレイ政権は13日に公式為替レートを50%超切り下げたこと(2023年12月14日記事参照)や、電気、ガスなどの公共サービスや公共交通機関への補助金制度が今後削減されることで、2024年は第1四半期(1~3月)だけでCPIは累計92%増、年間では350%以上の増加を予測している。

ジェトロが12月18日にブエノスアイレス市内で行った価格調査(添付資料表2参照)でも、物価は大幅に伸びており、上昇率が100%を超える品目も複数確認されている。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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