アフリカ進出日系企業調査、営業利益見込みは2015年以降で過去最高も法規制や為替・金融に課題

(アフリカ、日本)

調査部中東アフリカ課

2023年12月22日

ジェトロは2023年9月4~27日に、アフリカ21カ国に進出する日系企業286社(20カ国、235社より有効回答)に対して、現地での活動実態に関するアンケート調査を実施し、12月21日付で調査レポート「2023年度 海外進出日系企業実態調査(アフリカ編)」として公表した。

2023年の営業利益見込みについては、58.4%の企業が黒字と回答するなど2015年以降で最も高かった。前年比でみると、「改善」と答えた企業が41.2%と前年から2.4ポイント増加した一方、「悪化」と答えた企業も1.5ポイント増の20.9%だった。現地市場での需要増加がある一方、為替変動リスクや原材料・部品調達コストの上昇が営業利益悪化の理由として挙げられた。

今後1~2年の事業展開については、現地市場ニーズのさらなる拡大を見込み、半数以上(54.0%)の企業が「拡大」すると回答。また、7割強(71.7%)の企業が販売機能を拡大するほか、4割弱(38.6%)の企業が新規事業の開発に取り組むという。今後2~3年の自社グループ全体におけるアフリカの売上高のシェアについては、拡大との回答が40.7%だった一方、今後5年後以降でみると52.9%と半数を超える。

雇用環境については、世界的に人材不足が課題となる中(2023年11月22日記事参照)、アフリカでは同課題に直面しているとの回答が42.9%と世界平均(51.5%)を8.6ポイント下回った。最も人材不足が深刻な職種は「一般管理職」で、「深刻」との回答は7割を超える。調査国の中でこの1年最も雇用環境が改善されたのはケニアで、「改善した」との回答は34.9%だった。なお、基本給の平均ベースアップ率は9.8%と、前年(7.5%)を上回る賃上げを見込んでいる。

投資環境については、7割弱(68.8%)の企業が「所在国の市場規模/成長性」を魅力と回答しているほか、アフリカに拠点を構える理由についても、80.0%の企業が「市場の将来性」と回答するなど、同地域の将来性を評価する見方が多かった。一方、「規制・法令の整備、運用」と「財政・金融・為替面」で懸念を抱く企業はともに61.6%で、こうした課題について63.7%の企業が「何も改善していない」と回答している。

有望ビジネス分野は、人口増加もあり、食品や輸送機器など「消費市場」が47.7%でトップだった。「資源・エネルギー」が42.7%で続くが、アフリカは立地や気候条件に恵まれていることもあり、太陽光(55.7%)や風力(44.3%)など再生可能エネルギー分野が注目される。なお、今後の注目国については、スタートアップ・イノベーション分野で成長著しいケニアがトップを維持したほか、アフリカ最大の市場規模を誇るナイジェリアが2位に浮上している。

(梶原大夢)

(アフリカ、日本)

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