国家核心重要技術リストを発表、半導体や宇宙など5分野22項目が対象

(台湾)

調査部中国北アジア課

2023年12月11日

台湾の国家科学技術委員会は12月5日、国家核心重要技術リストを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2022年5月に改正された国家安全法では、「経済スパイ罪」と「国家核心重要技術営業秘密の域外使用罪」が追加された。このうち、「経済スパイ罪」では、国家核心重要技術の不正な取得・使用・漏洩(ろうえい)について、5年以上12年以下の懲役と500万台湾元以上1億台湾元以下(約2,300万円以上4億6,000万円以下、1台湾元=約4.6円)の罰金を科される可能性がある(2022年5月27日記事参照)。

国家科学技術委員会によれば、対象技術の認定は、2023年4月に発効した国家核心重要技術認定弁法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに基づき、担当省および専門家、業界代表による議論を経て行われた。今回のリストは第1弾で、産業をリードし、保護の緊急性が高い5分野22項目の技術を対象にした。今後、さらに広く意見を聴取し、3カ月後をめどに第2弾のリストが発表される予定だ(「中央社」12月5日)。

対象分野と技術項目の概要は次のとおり。

  1. 国防(6項目):軍用カーボンファイバー複合材料技術、軍用カーボン高温耐性材料技術、軍用新型敵味方識別装置技術、軍用マイクロ波・赤外線・マルチモードシーカー技術、軍用アクティブ式フェーズドアレイ偵察技術、ラムジェットエンジン技術。
  2. 宇宙(8項目):衛星コントロール技術、Xバンド画像ダウンロード技術、画像圧縮エレクトリックユニット技術、CMOS映像観測器技術、光学ペイロードシステムの設計・製造・統合技術、アクティブ式フェーズドアレイアンテナ技術、受動型リフレクターアンテナ技術、レーダー映像処理技術。
  3. 農業(3項目):品種育成および養殖技術、農業バイオチップ技術(農薬残留検査、動植物病原検査)、農業設備の運営・管理技術。
  4. 半導体(2項目):14ナノ以下の集積回路(IC)製造技術および関連するガス・化学品・設備技術、ヘテロジニアスパッケージング技術(ウエハーレベルパッケージング技術、シリコンフォトニクスパッケージング技術および関連する特殊材料および設備技術)。
  5. サイバーセキュリティー(3項目):チップセキュリティー技術、ポスト量子暗号保護技術、アクティブサイバーディフェンス技術。

半導体関連の対象技術について、王美花経済部長は「既に関連企業と十分にコミュニケーションをとっており、現状のルール下では台湾企業のビジネスに対する影響はない。主要な目的は重要技術を一層保護することだ」と述べた(「中央広播台」12月6日)。

(江田真由美)

(台湾)

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