ショルツ首相がCOP28で演説、「気候クラブ」も正式発足

(ドイツ、世界)

ベルリン発

2023年12月07日

ドイツのオラフ・ショルツ首相は12月1~2日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催している国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28、2023年12月1日記事参照)に参加した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

ショルツ首相は2日、首脳級会合前の演説で、化石燃料の段階的廃止と、世界のエネルギー政策の最優先事項を再生可能エネルギー拡大にすることなどを呼びかけた。また、気候変動は「現代の世界規模の大きな課題」であり続けているとした。気候変動対策に必要な手段の「風力発電、太陽光発電、電気モーター、グリーン水素」に関連する技術について「ドイツは精力的に開発に取り組んでいる」と強調した。

また、2022年のG7サミットで議長国としてドイツが提唱した「気候クラブ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(2022年6月30日記事参照)が1日、正式に発足した。気候クラブは、ショルツ首相が財務相時代の2021年から提唱しており、産業の脱炭素化に向けた適切な戦略や基準などを開発する国際協調の枠組みだ。合同タスクフォースが既に2024年の活動プログラムPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を策定。気候クラブには、現時点で35カ国(注)と欧州委員会の計36のメンバーが参加している。

5日には、ドイツ政府と国連工業開発機関(UNIDO)が気候クラブの一環である2つのイニシアチブを発表した。ドイツはこれらに2,300万ユーロを拠出する。1つ目の取り組みは「ネットゼロ産業パートナーシップ」で、開発途上国の温室効果ガス(GHG)多排出産業の脱炭素化に対する技術支援を行う。2つ目は「グローバル・マッチメーキング・プラットフォーム」で、開発途上国のニーズに応じ、既存の国際的な技術・資金の支援方法や民間の資金調達手段のマッチングを行う。気候クラブが重要課題と定めているのは、鉄鋼、セメント・コンクリートなどの GHG多排出産業の脱炭素化だ。ドイツ政府によると、2050 年までにネットゼロを達成するには、これらの産業部門のGHG排出量を2050年までに90%削減する必要がある。

なお、COP28では11月30日に、「損失と損害」基金の運用化に関する決定が採択された。ドイツは同基金に1億ドルを拠出する。

(注)アルゼンチン、オーストラリア、エジプト、チリ、コスタリカ、ドイツ、デンマーク、フィンランド、フランス、インドネシア、アイルランド、イタリア、日本、カナダ、カザフスタン、ケニア、コロンビア、韓国、ルクセンブルク、モロッコ、モザンビーク、オランダ、ノルウェー、オーストリア、ペルー、スウェーデン、スイス、シンガポール、スペイン、タイ、ウクライナ、ウルグアイ、バヌアツ、英国、米国。

(中村容子)

(ドイツ、世界)

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