シンガポール、炭素排出量オフセット可能なプロジェクト国発表

(シンガポール)

シンガポール発

2023年12月21日

シンガポール環境持続省と同省管轄下の国家環境庁(NEA)は12月19日、炭素税(注1)課税対象の排出量をオフセット可能な「国際カーボンクレジット(ICC)フレームワーク」の具体的な手続きを発表した。同庁によると、炭素税課税対象の排出量のオフセットが認められる環境関連のプロジェクト国は同日時点で、パプアニューギニアのみとなる。

炭素税の課税対象企業は2024年1月から、課税対象となる排出量について、ICCを用いて最大5%オフセットできるようになる(2023年10月12日記事参照)。炭素税は現行、温室効果ガス(GHG)1トン当たり5シンガポール・ドル(約540円、Sドル、1Sドル=約108円)だが、2024~2025年に25Sドル、2026~2027年に45Sドルへと引き上げられる予定だ。

NEAは10月4日、ICCの適格基準の概要を発表していたが、2023年中にオフセットを認める環境関連のプロジェクト国のリストと、具体的な手続きを発表するとしていた。同庁の今回の発表によると、オフセットが認められるパプアニューギニアのプロジェクトは、一部項目を除き、原則として、(1)「国際目標のためのゴールドスタンダード(Gold Standard for the Global Goals)」、(2)「検証済み炭素基準(Verified Carbon Standard、VCS)」、(3)「米国炭素登録(American Carbon Registry、ACR)」、(4)「国際炭素協議会(Global Carbon Council、GCC)」の4種類の認証規格を2023年3月31日までに認められたものとなる(注2)。ICCに基づく炭素税課税対象のオフセットの具体的な手続きのガイダンス文書は、NEAのサイトPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)からダウンロードできる。

オフセットが認められる国は現在、パプアニューギニアの1カ国だが、NEAはプロジェクト国のリストを毎年見直す方針だ。シンガポールはこれまでに、カンボジア、チリ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、フィジー、インドネシア、ケニア、モンゴル、モロッコ、ペルー、ルワンダ、セネガル、スリランカと、パリ協定第6条に基づくカーボンクレジットに関する協力に向けた覚書(MOU)をそれぞれ署名。また、シンガポールは、ガーナ、ベトナム、パラグアイ、ブータンとそれぞれ協力の実施協定交渉の実質的妥結を発表していた(2023年12月18日記事参照)。

(注1)炭素税は、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガス(GHG)を年間2万5,000トン(tCO2e)以上排出する発電所やごみ処理、製造など約50の事業者が対象。

(注2)炭素排出量のオフセット対象となるパプアニューにアにおける4認証規格それぞれの除外項目は、シンガポール政府のカーボン取引情報サイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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