バイデン米政権、ロシアを支援する第三国への制裁強化を発表

(米国、ロシア、ウクライナ)

ニューヨーク発

2023年12月14日

米国のバイデン政権は12月12日、ウクライナへの侵攻を続けるロシアを支援している、または有害な外交活動をしている個人・事業体を特別指定国民(SDN)へ指定するなど、新たな制裁を発表した。2021年4月に発表された、ロシアへの制裁を強化する大統領令に基づいて実施された(2021年4月16日記事参照)。これにより、制裁対象となった個人・事業体の米国内にある、あるいは米国人(注1)が所有または管理する資産は全て凍結される。制裁対象が直接または間接的に50%以上所有する全ての事業体などの資産も凍結される。さらに、米国人との資金・物品・サービスの取引禁止も科される。

今回の制裁は、国務省と財務省がそれぞれ発表した。国務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、100以上の個人・事業体を制裁対象に指定した。具体的には、ロシアのエネルギー輸出・生産能力、金属・鉱業部門など、将来的な制裁回避・迂回を助長する第三国のネットワークや、北朝鮮とロシア間の軍需品輸送に関与した海運会社を制裁対象とした。

財務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、150以上を制裁対象に指定した。具体的には、ロシアの軍事産業基盤のエンドユーザーに対して、重要な技術、設備、素材の移転を促進、手配、可能にするトルコ、アラブ首長国連邦(UAE)、中国、スイス、シンガポール、キルギス、モルディブ、タジキスタンなどの個人や事業体を制裁対象とした。そのほか、ロシアの軍事産業基盤や金融機関も制裁対象とした(注2)。

財務省のジャネット・イエレン長官は、ロシアの兵器はロシア一国では生産できないとし、「われわれの本日の制裁措置は、ロシアがその軍事産業基盤を強化、維持するために必要な素材を提供する意思のある、第三国のサプライヤーやネットワークを締め付け続けるものだ」と、ロシアを支援する個人・事業体への制裁を強化する必要性を強調した。

バイデン政権の主要な対ロシア・ベラルーシ制裁については、添付資料参照。

(注1)米国市民、米国永住者、米国の法律に基づく、もしくは司法権が及ぶ域内に存在する法人(外国支所も含む)、もしくは米国内に存在するあらゆる個人を指す。

(注2)今回の制裁の詳細は、財務省のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから確認可能。また、ウクライナ情勢に関する同省による制裁の全容は「ロシア関連制裁」のポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。制裁対象に指定した個人・企業などについては、同省外国資産管理局(OFAC)のデータベース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでCountry欄のRussiaを選択し、Searchをクリックすることで確認可能。

(赤平大寿)

(米国、ロシア、ウクライナ)

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