韓国官民合同会議、米インフレ削減法(IRA)新規定案の影響を「大きくない」と評価

(韓国、米国)

ソウル発

2023年12月07日

米国政府が12月1日に発表したインフレ削減法(IRA)によるクリーンビークルへの税額控除に関する規則案(Notice of Proposed Rulemaking、2023年4月3日記事2023年4月7日記事2023年12月6日記事参照)のうち、「懸念される外国の事業体(FEOC)」の規定案に関連し、韓国産業通商資源部は翌2日に官民合同緊急対策会議を開催した。同会議にはバッテリーメーカー3社、バッテリー素材企業、韓国バッテリー産業協会、韓国鉱害鉱業公団などが参加した。

今回発表された規定案では、外国企業が(1)懸念される外国(注1)で設立、所在、主要事業所を持つ場合、または(2)懸念される外国の政府による所有、統制、指示を受ける(注2)場合、FEOCとみなされる。FEOCが抽出・加工・リサイクルした部品や鉱物、製造・組み立てた部品が入っているバッテリーを搭載したクリーン自動車は税額控除の対象から除外されるため、韓国のバッテリー業界はこれまで、FEOCに関する規定の早急な公表を要請してきた。

同会議では、今回の発表に対する官民それぞれの評価について、次のように述べられている。

  • バッテリーメーカー:FEOCの規定について、当初の予想範囲から大きく外れることはなかった。まずはFEOCの規定の不確実性が解消されたため、早急に重要鉱物別の対応戦略を策定し推進する。
  • 韓国バッテリー産業協会:韓国のバッテリー関連企業は米国完成車メーカーとの中・長期的契約を締結し、米国内バッテリーセル生産量の50%を確保しており、品質と技術力もリードしているため、今回の規定の影響は大きくないと予想される。
  • 産業通商資源部:今回の規定は、韓国のサプライチェーンの自立化を促し、バッテリー産業の競争力を一層高める重要な転換点となる

今回発表された規定は約1カ月の意見収集期間を経て最終確定される予定。韓国政府は同会議などで把握した韓国の業界の立場をまとめ、政府意見書として提出するとともに、ハイレベルの面談などを通じて米国側に韓国の立場を継続的に伝える予定だ。

(注1)中国、ロシア、イラン、北朝鮮

(注2)懸念される外国の中央政府・地方政府、政府所管の機関・機構、政党、現・前職の高位の政治家によって、当該外国企業の理事会議席、議決権、持ち分の25%以上を「直接」または「間接的」に有することを意味する

(橋爪直輝)

(韓国、米国)

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