習近平国家主席がEU首脳と会談、サプライチェーンなどでの協力を強化

(中国、EU)

北京発

2023年12月14日

中国の習近平国家主席は12月7日、北京市で欧州理事会(EU首脳会議)のシャルル・ミシェル常任議長、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長と会談を行った。

習国家主席は前回の会談(注1)以降、中国と欧州の関係は強固な発展へ向けた勢いを示しており、戦略、経済・貿易、グリーン、デジタルに関するハイレベル対話で大きな成果を得たとした。また、中国と欧州の関係は、戦略的意義と世界的な影響力を持ち、世界の平和、安定、繁栄に関わるとした。

その上で、両者は制度が違うことを理由に互いを敵同士とみなしてはならず、競争があるからといって協力を減らしてはならず、意見の違いがあるからといって対立してはならないとした。また、中国と欧州の経済は高い相互補完性があるとし、経済・貿易ではカギとなるパートナー、科学技術では優先的パートナー、サプライチェーン・産業チェーンでは信頼できるパートナーとなることを希望した。

習国家主席は、「一帯一路」とEUの「グローバルゲートウェイ」(注2)の連携により、開発途上国の発展を支援することを希望するとともに、国連、G20などの多国間枠組みにおける意思疎通と協力を強化すべきだとした。

中国の外交部によれば、欧州側は中国とのデカップリングは望まず、長期的で安定し、予見可能、持続可能な関係を望むとした。また、EUは「一つの中国」政策を堅持するとした。

同日午後には第24回中国・EU首脳会議が開催され、中国側は李強首相が出席した。外交部によれば、双方は「デカップリング」への反対、相手側企業への公平・無差別なビジネス環境の提供、対話と協議による意見の相違の解決を堅持するとした。その他、輸出管理対話メカニズムの活用や原材料早期警戒メカニズムの立ち上げによるサプライチェーンでのパートナーシップ構築や、グリーン、地理的表示、知的財産権、排出権取引などに関する協力強化、航空便や人員往来の回復加速、国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で成果を得ることなどにも合意した。

外交部は今回の会議の成果として、双方が(1)中国・欧州関係の戦略的安定性の維持、(2)互恵的協力の継続、(3)グローバルな課題への共同対応に合意したことを挙げた。同時に、会議において中国はEUによる中国製BEV(バッテリー式電気自動車)に関する反補助金調査(注3)などに反対を表明した。

(注1)習国家主席とミシェル常任議長は、直近では2022年12月に会談を行っている(2022年12月5日記事参照)。

(注2)民主主義、法の支配、人権の擁護などの価値に基づく、EU域外向けのインフラ支援戦略(2021年12月3日記事参照)。

(注3)2023年9月19日記事2023年10月6日記事参照

(河野円洋)

(中国、EU)

ビジネス短信 561ad13c7fbeb2a8