欧州委、3,000億ユーロ規模の域外向けインフラ支援戦略を発表

(EU)

ブリュッセル発

2021年12月03日

欧州委員会は12月1日、外務・安全保障政策上級代表と共同で、民主主義、法の支配、人権の擁護などの価値に基づく、EU域外向けの新たなインフラ支援戦略となる「グローバル・ゲートウェイ」に関する政策文書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。これは、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長が2021年の一般教書演説(2021年9月16日記事参照)で、中国の「一帯一路」構想に対抗するEUの域外戦略としてその構想を明らかにしていたものだ。フォン・デア・ライエン委員長は同日の記者会見で、EUの支援には透明性と良好な統治(グッドガバナンス)があり、EUは返済できない債務を支援対象国に負わせることもないとして、この戦略を中国の「一帯一路」構想に対する「真の代替案」であると強調した。

政策文書によると、この戦略は、EUとEU加盟国、欧州投資銀行(EIB)などのEUの金融機関、加盟国の開発金融機関などが共同して実施するもので、民間資金も積極的に活用することで、2027年までに最大で3,000億ユーロの投資(主に融資や公的保証)を動員するとしている。投資対象に関しては、海底・陸上の光ファイバーケーブルやクラウドデータインフラなどのデジタルネットワークや、エネルギー移行に向けた再生可能エネルギーやエネルギーの効率化といった気候変動対策、鉄道・道路・港湾・空港を含む持続可能な交通網、医薬品・医療品のサプライチェーンの強化、教育・研究開発の各分野で必要なインフラを優先するとした。

EUの地政学的な利益や欧州企業の利益も重視

欧州委は自らを「地政学的委員会」と位置付けており(2019年9月11日記事参照)、今回の戦略を通じた投資に関しても、デジタル化や気候変動対策など支援対象国のニーズに基づくとする一方で、政治主導によるEUの戦略的利益にも資するものにするとしている。また、欧州企業の利益も重視する姿勢をみせており、この戦略に基づく行程表やプロジェクトの策定で欧州産業界の要望を計画的に考慮すべく、「ビジネス諮問グループ」を設置するとしている。さらに、域外国で欧州企業は多額の国家補助を受ける域外国企業との競争にさらされているとして、より公平な競争環境を確保し、インフラ整備プロジェクトへの欧州企業の参入を促進すべく、「欧州輸出信用ファシリティー」の設置の可能性にも言及している。

(吉沼啓介)

(EU)

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